【動画】交尾する深海アンコウ、史上初の撮影

水深800メートル、大きなメスに小さなオスが合体していた

2018.03.26
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【参考動画】深海の奇妙な捕食者チョウチンアンコウ(解説は英語です)

 ヒレナガチョウチンアンコウのオスはメスよりずっと小さいが、感度の高い大きな目と鼻を持っており、メスが発する化学物質を探し当てることができる。メスを見つけたオスは、その体にかじりつき、そこからオスの組織と循環系はメスに融合してしまう。メスの血液から栄養を得られるようになる代わりに、オスは目やひれ、歯、ほとんどの内臓を失い、メスが産卵できるタイミングに備える「精子バンク」と化すのである。

「オスがメスを見つけ、噛みついたところから、組織融合が始まります」と、米モントレー湾水族館研究所の深海生態学者ブルース・ロビソン氏も、2014年にナショナル ジオグラフィックで解説している。

 科学者らがこの奇妙な交尾行動について知っていたのは、メスの死体とひとつになったオスの死体が発見されていたからだ。深海生物は、水圧や水温の管理が困難なため、実験室ではほとんど生かしておくことができない。(参考記事:「深海で「悪夢のような」新種のアンコウを発見」

光るひれの用途は不明

 今回の映像からは、風変わり交尾行動だけでなく、ほかの魚には見られない体の構造も見て取れる。ほかの魚類の場合、ひれはひとまとまりで動くが、ヒレナガチョウチンアンコウの光る鰭条は、それぞれが筋肉と神経を備え、独立して機能しているように見える。

「その1本に獲物が触れると、アンコウはすぐさま振り返ってひとのみにしてしまいます」とピーチ氏は「Science」誌に語っている。「めったに食べ物にありつけない海の底では、食事のチャンスを逃すわけにはいかないのです」

 同氏によれば、メスの「光のショー」は、獲物をおびき寄せる手段かもしれないし、捕食者に対して自分の体を実際よりずっと大きく見せるトリックかもしれない。毒のあるクラゲに擬態することで、ほかの動物に食べられるのを防いでいる可能性もある。(参考記事:「光る生き物の世界」

 ヤコブセン氏が今回の撮影に使用した潜水艇は、2013年から活動している。この不思議な魚についてはまだほとんど研究がされておらず、今後の進展が期待される。(参考記事:「フォトギャラリー:奇妙で美しい暗闇の生き物たち」

文=Elaina Zachos/訳=山内百合子

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