【動画】謎の「漂着生物」の正体は? ネットで話題

深海生物の腐乱死体? それともいたずら? 専門家に聞いてみた

2018.03.23
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謎の漂着物。何かが脇で動いているが…。

 米国ジョージア州で、謎の生きものらしき物体が海岸に打ち上げられた。正体はまだわかっておらず、明確な答えが出るかどうかもわからない。

 地元メディアによれば、この漂着物が発見されたのは3月17日で、場所はジョージア州南東部ウルフアイランド国立野生動物保護区の海岸だ。

 発見者とされるジェフ・ウォーレン氏が州内の複数メディアに写真を送ると、すぐさま注目を集めた。

深海生物?

 写真を見た海洋科学者たちの解釈はさまざまだ。腐敗した魚と考える者もいれば、まったくの作り話だと斬り捨てる者もいる。ただし、実際に採取した試料がない限り、正体を突き止めるのはおそらく不可能だと科学者たちは一様に述べている。(参考記事:「【動画】巨大ワニが目の前を横切る、映像は本物?」

 タイビーアイランド海洋科学センターのシャンタル・オードラ氏は地元紙サバンナ・モーニング・ニュースの取材に対し、「ラブカのような深海ザメに見えます。えらの穴が見当たりませんが」と述べた。ただし、実物を調べない限り、すべて推測にすぎないと氏もすぐに付け加えている。(参考記事:「深海のサメ、ラブカが網にかかる、歯が300本」

 生きものの死体が分解の過程で不思議な変化を起こしたのは今回が初めてではない。2017年2月には、フィリピンの海岸に「毛むくじゃらの死体」が打ち上げられ、大きな話題を呼んだ。とてもそうは見えないが、それは筋繊維が「毛」のようにほぐれたクジラの死体と確認された。(参考記事:「【動画】謎の巨大肉塊が海岸に漂着、正体は?」

「あのようなものは見たことがありません」

 今回発見された謎の漂着物は生物ですらないと確信する科学者もいる。

 米ジャクソンビル大学の海洋生物学者クイントン・ホワイト氏は「こんな偽造は難しくありません。私たちはただの悪ふざけだと考えています」と話す。ホワイト氏は研究仲間と議論した上で、「あのようなものは見たことがありません。腐敗の兆候はなく、まったくの無傷に見えます」と結論づけている。

 地元の未確認動物アルタマハ・ハも疑念を増幅させている。アルタマハ・ハはジョージア州の一部に伝わるネッシーのような未確認のモンスターだ。今回発見された謎の生物とアルタマハ・ハには共通点がある。(参考記事:「ネッシーに巨人の骸骨……ミステリーの捏造史」

 米ジョージア大学マリン・エクステンション・アンド・ジョージア・シー・グラントの博物学者ジョシュ・”クローフィッシュ“・クロフォード氏は「あの“海洋生物”はアルタマハ・ハの子供の模型だと確信しています」と話す。クロフォード氏によれば、謎の生物が発見されたのは「伝説上の生物の“生息地”に近い場所」だという。

 ホワイト氏も、もし本当にサメのような深海生物の腐乱死体だったら、もっと外見が汚いはずだと指摘する。

【参考動画】カナダで発見された不思議な塊
人間の脳のような外見だが、無数の動物によって構成されるコロニーだ。(字幕は英語です)

「たいてい、(分解の過程で)皮膚がはがれ落ちてしまいます」とホワイト氏。「表皮はまだらになり、体の先端はほかの海洋生物たちに少しずつかじられるはずです」(参考記事:「ワニに乗ったアライグマ、写真は本物?」

 異常にきれいな体の状態と、死体が回収されていないこと、伝説上の生物との共通点を理由に、これはとうてい信じられる話ではないとホワイト氏は考えている。(参考記事:「なぜ人は嘘をつく?」

「都合がよすぎる話に聞こえます」

 ホワイト氏はさらに、不思議な海洋生物が漂着しているのを発見した場合は、当局か野生生物の専門家に連絡すれば、適切な調査ができると言い添えた。

 ジョージア州自然資源局のナンシー・バトラー氏は、すでにスミソニアン博物館に写真を送り、調査を依頼したと述べている。

「作り話か、本物か。私たちにもわかりません」

 バトラー氏によれば、天然資源局が情報を入手したのは18日。そのときにはもうインターネットで話題になっていたとのこと。彼らがウルフアイランド国立野生動物保護区へ調査に行ったときには、もうなんの手がかりも残されていなかった。

文=Sarah Gibbens/訳=米井香織

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