【動画】超希少クジラをドローン空撮、初の鮮明映像

生きた姿の目撃例は世界で10回未満! ヒガシアメリカオウギハクジラ

2018.03.14
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【参考ギャラリー】集団で「立ち寝」をする巨大クジラ

 アレン氏によると、ヒガシアメリカオウギハクジラと識別する決め手となるのは、2本の白い歯の位置だ。オウギハクジラ属のオスは、成長するにつれて下顎に2本の前歯が生える。オスの場合には口を閉じた時にもこの歯を見ることができ、メスの場合は隠れていて見えない。動画に映っている片方のオスには数本の傷が見られるが、アレン氏の意見では、おそらくこれは他のオスと争った跡らしい。

「この種と絞り込む決め手になるのは、下顎に生えた歯の大きさ、形と位置です」と、アレン氏は映像を見た後で、ナショナル ジオグラフィックにメールで答えてくれた。「飛行機やドローンを使用してこのように空中から撮影すると、これらのクジラの生活を新たな視点から見ることができます」(参考記事:「【動画】シャチが集団で巨大クジラに体当たり」

ひたすら泳ぐ

 ヒガシアメリカオウギハクジラは、海中を移動する時、紡錘形をした体にヒレを密着させる。そして海底深くまで潜ることができ、人間や浅い海で暮らすクジラならば肺がつぶれ、酸素が絶たれてしまうような深海で、水圧に耐え、息を止めることができる。潜水時間は1時間あまり。日に数回は、餌を探すために潜るという。

「水面にいるのは、ほんのわずかな時間だけです」と、アレン氏は語る。「このような極限の環境で身体が機能し、生活していけるとは、実に驚異的です」

 このような頑強さを備えるにもかかわらず、ヒガシアメリカオウギハクジラに関する情報が少ないことから、彼らは絶滅の危機に脅かされている可能性もある。これまでにも定置網や刺網のような漁具に不運にも混獲されたことがあったし、もしかすると騒音公害の影響を強く受けているかもしれない。他の海洋生物と同じく、ヒガシアメリカオウギハクジラもまた、気候変動に伴う温暖化やその副作用に脅かされている。

「彼らは極限の環境下で、極限の生活を営み、極限の形態と組織と生理を持ちます。だから極限にまで魅力的な動物なのです」と、アレン氏はメールに書いている。「彼らの存在を知ると、微笑んでしまいます。自然を前に私たちがどれほど卑小な存在か、思い起こさせますから」(参考記事:「定説を覆す、異例だらけの新種クジラの生態」

文=ELAINA ZACHOS/訳=潮裕子

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