史上最強の女性は? 歴史家3人に聞いた

古代の世界で直接の力を誇った女性、間接的に影響力を及ぼした女性

2018.03.13
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「有力な政治家と王族が宗教儀礼でも高い地位にあったため、神殿と宮廷の関係は重複していた可能性があります」とガンセル氏。

 その一例が、シュメール屈指の勢力を持った都市ウルで、高位の神官になった王女エンヘドゥアンナ(紀元前2285~2250年)だ。彼女の名が記された詩や祈祷文が現存することから、エンヘドゥアンナは分かっている限り史上初の詩人とされ、宗教的・文学的な重要人物としての威光は不動のものとなっている。しかも、政治的な影響力さえ持っていた。彼女の作品は、シュメールのさまざまな都市国家の統一をはっきり意図していたからだ。(参考記事:「最古の国際都市ウル、50年ぶり発掘再開」

「エンヘドゥアンナのおかげで、女性たちがかなり古い時代から家庭外での役割を確実にもっていたことに注目できます」とガンセル氏は話す。エンヘドゥアンナは「非常に力が強く、しかもその力は政治の領域だけにとどまりませんでした。儀式が政治を支え、逆もまた然りという関係でしたから」

消された声をすくい上げる

 こうした古代の女性たちから学ぶことは多いかもしれない。が、これは話の始まりにすぎない。(参考記事:「曖昧になる男女の境界」

「歴史上の強い女性に着目することの問題の1つは、普通の女性たちが地域社会や家庭で果たしていた日常的な役割の重要性を見落としてしまうことです」と、バーンズ氏は話した。

 またホン氏は、個々の女性は名声を得ているかもしれないが、必ずしも全ての女性が力を持ちつつあるというわけではないと指摘する。「現在の仕組みの中でも、ある程度の力を持つことで、選択肢をもてる人はいるでしょう。ですが、現状に異議を唱えれば、力を失う可能性があります」

「物事を理解するために、私たちは考え方を変えなければなりません」と、ガンセル氏は付け加えた。「何かを理解できたように思い始めたときは、もっと研究が必要なときなのです」

 結局のところ、歴史から長らく消されてきた人たちの声をすくい上げる唯一の方法は、問いかけ、学び続けることだ。いずれも名前は残っていないかもしれないが、今日の世界をつくった人々なのは間違いない。(参考記事:「弱者に寄り添う「勇敢な女性ジャーナリスト」 心に響く受賞作品18点」

文=Rachel Brown/訳=高野夏美

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