史上最強の女性は? 歴史家3人に聞いた

古代の世界で直接の力を誇った女性、間接的に影響力を及ぼした女性

2018.03.13
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アルテミシアに捧げられた飾り板。12の神に囲まれている。(Photography by DeAgostini, Getty)
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戦闘で力を発揮した女王アルテミシア

 米グスタフ・アドルフス大学の准教授で、古典とジェンダー、女性とセクシュアリティ研究を行うユリー・ホン氏は、別のやり方を取る。

「パワーについてよくあるイメージは、支配権と権威を持っていることです」とホン氏。「影響力はパワーの一つの形ですが、他者に対する直接の支配や権威と同じではありません」

 ホン氏は直接的に力を及ぼした一例として、紀元前5世紀のハリカルナッソスの女王、アルテミシア1世を挙げる。海軍指揮官として尊敬を集め、ペルシャと同盟を組んでギリシャと戦った女性だ。

 紀元前480年、歴史上重要なサラミスの海戦が起こった。このさなか、敗北が差し迫ったと思われたときに、アルテミシアは味方のペルシャ軍を裏切る行動をとったらしい。しかし歴史家のヘロドトスによれば、彼女はギリシャ人とペルシャ人の両方から賞賛された。特にペルシャ王クセルクセスは彼女の才気をたたえ、その助言に従ったという。(参考記事:「古代ギリシャ 満天の神々」

 知名度ではアルテミシアが勝るかもしれないが、ホン氏は「戦った女王」を他にも挙げてくれた。紀元前60年ごろ、ローマ帝国によるブリタニア征服に対して反乱を起こしたケルトの女王ブーディカ、そして中央アジアの遊牧民、マッサゲタイ族の女王トミュリス。トミュリスは紀元前530年、キュロス大王率いるペルシャ軍を破った。ホン氏はトミュリスを「私のお気に入りです」と話す。(参考記事:「【動画】古代ギリシャの沈没船で謎の円盤を発見」

ハリカルナッソスのアルテミシアの肖像。彼女はギリシャの歴史家ヘロドトスの記述で歴史に名を遺した。(Photograph by Fine Art Images, Heritage Images/Getty)
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宗教と政治のリーダー

 米セント・ジョンズ大学の美術史学教授、エイミー・ガンセル氏は、「私たちがパワーとして理解するものは、時代や場所が異なる人々の間で常に一致するわけではありません」と注意を促す。

 例えば、古代メソポタミアで栄えたシュメール人の都市国家では、女王や王に近い支配者が存在した。しかし、権力は彼らだけが握っていたのではなく、直接的・間接的な形で、複雑な構造の中に広がっていた。(参考記事:「謎の古代の粘土板に新説、三角法1000年早かった?」

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