南極でペンギン150万羽を発見、衛星とAIを駆使

衛星画像で「糞」を判別、ドローンの写真を人工知能で解析

2018.03.07
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南極に暮らすアデリーペンギン 写真7点(写真クリックでギャラリーページへ)
アデリーペンギンは南極で繁殖する2種のペンギンのひとつ。彼らは気候変動に脅かされている。(PHOTOGRAPH BY CRISTINA MITTERMEIER, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

 150万羽を超すアデリーペンギンが、南極半島の先にあるデンジャー群島で新たに発見されたという論文が3月2日付けのオンライン科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

 デンジャー群島にペンギンが生息していることは以前から知られていた。しかし、ほとんど調査は行われず、生息数は謎に包まれていた。

 そこで、研究者らが衛星写真を解析した後に野外調査を続けて行ったところ、巨大なコロニーの存在が判明した。そのなかには世界第3位と第4位の大きさのアデリーペンギンのコロニーも含まれている。今回の発見により、南極半島の先端から西部に広がる海域で確認されているペンギンの数はおよそ1.7倍になった。

 南極周辺では現在、アデリーペンギンの生息数が急速に減少している場所があると言われている。今回の発見は、南極海の保全計画にも役立つだろう。またこの発見では、観測衛星から得た情報と人の手による調査を組み合わせて活用しており、手法としても画期的といえる。(参考記事:「ペンギン繁殖地、今世紀中に最大60%が不適に」

「この論文が傑出しているのは、種々の異なる画像データを活用して研究している点です」と、カナダ、ハカイ研究所の海洋地理学者ルーバ・レシトニク氏は語っている。「宇宙からペンギンの位置(より正確にいえば生息地)を確認するなんて、わくわくします!」。なお、彼女は今回の研究には関与していない。(参考記事:「海洋学者だけの秘密の場所、ハカイ」

南極半島の西か東か

 南極半島に生息するアデリーペンギン、ヒゲペンギン、ジェンツーペンギンの3種のうち、南極とその周辺にしかいないのはアデリーペンギンだけだ。つまり、彼らが生き残るためには、南極という環境が欠かせない。(参考記事:「南極のペンギン、異なる温暖化への適応」

 だが南極半島の西部沿岸の海水温はこの40年間で暖かくなり、冬の気温も約5℃も上昇した。海に氷がない季節は3カ月間と長くなり、674個の氷河は600近くにまで減少した。

 環境の変化は、この地域の食物網の変化を招き、アデリーペンギンが餌を捕食する時間と場所を変えた。暖かくなれば、雨も頻繁に降り、そうなればペンギンの巣は水浸しになって壊れ、卵は水没し、ヒナは文字通り凍え死ぬ。その結果、半島西部の沿岸では、アデリーペンギンのほぼ全てのコロニーが減っている。

 ところがその一方で、南極半島東部とデンジャー諸島では、アデリーペンギンがすくすくと元気に育っている。風が海氷を半島の先端周辺に集め、ゆっくりと渦巻く海流がそれらを陸地付近に押しとどめる。おかげで海氷がずっと存在し、アデリーペンギンにとって住みやすい場所になっている。(参考記事:「南極のペンギン、360万羽も多かった」

次ページ:海氷に閉じ込められる恐れのある海

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