新種?「タイプD」のシャチ、初の水中映像

ずんぐり頭に小さな目の模様、発見例が極めて少ないレアタイプ

2018.03.06
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【参考動画】協力してクジラを襲うシャチ(解説は英語です)
2017年8月、シャチの群れが協力してホッキョククジラを襲う様子が初めて撮影された。群れのリーダーがクジラに横からぶつかり、子供のシャチはクジラの頭の近くを泳いで逃げ道をふさぐ。他の大人は、クジラのヒレを引っ張り、海中に引きずりこむ。

 それでも、ピットマン氏は船乗りが撮影した写真を注意深く観察し、詳細な身体的特徴をなんとか明らかにした。ピットマン氏によると、タイプDは、確認されている4種類のシャチ(タイプA、B、C、D)の中で、最も独特な外見をしている。

 外見だけでなく、遺伝子も独特だ。2013年、ピットマン氏のグループは、ニュージーランドの博物館に収蔵されているタイプDのシャチの骨格標本からDNAを採取した。これを調べた結果、タイプDの遺伝子は、他のタイプのシャチとは別種といってもいいほど異なっていた。ただし、別種と確認するためには、もっと多くのサンプルが必要だ。

新種の可能性も?

 こうした偶然の目撃例のおかげで、どこに生息し、どんな習性があるのか、本当に必要な情報が手にはいる。「彼らが何を食べるのか、回遊するのか、寿命は? 社会構造は? ほとんど何もわかっていません」と海洋生物学者のコナー・ライアン氏は言う。ライアン氏は、調査船「クジラの歌」の研究員で、クルーズ旅行会社リンドブラッド・エクスペディションの博物学者でもある。(参考記事:「シャチの息に異例の病原体、耐性菌も、経路不明」

 写真では決してわからないものが映像からはわかりますと、ピットマン氏。「このシャチがどのような姿をしているのかがわかる初めての映像です」。映像を見ると、このシャチには丸い頭、小さなアイパッチ、尖った背びれなど、他のタイプとは違う特徴があることが確認できる。

【参考ギャラリー】賢いハンター、シャチの写真13点(画像クリックでギャラリーページへ)
深海でニシンの群れを駆り立てるシャチ(ノルウェー、アンフィヨルド)(Photograph by Paul Nicklen, National Geographic Creative)

 一方、ピットマン氏は、謎だらけのタイプDのシャチの実物を観察するための調査航海を検討中だ。「これが新種ならば、地球に残された最大の未記載種ということになるでしょう」と、ピットマン氏は話す。

文=ERICA TENNENHOUSE/訳=牧野建志

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