衛星で漁船を追跡、なんと海面の55%超で漁業が

地球規模のデータを水産資源の持続可能な管理に役立てる

2018.02.28
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【動画】違法漁業を宇宙から追跡する(解説は英語です)(解説は英語です)

 AISはもともと船の衝突を防ぐために開発された無線機器で、各船の識別情報、位置、速力、針路などのデータを数秒ごとに発信する。「AISから発信されたメッセージは、人工衛星を介して誰でも利用できます」とマジョルガ氏は説明する。「この信号を、グーグルが提供する高性能なコンピューターと機械学習アルゴリズムを使って精査しました」

 マジョルガ氏らのチームはこの方法により、各船の特徴に関する情報を収集し、どのような漁が行われているかを明らかにすることができたという。たとえば、最も多く行われているのは、延縄(はえなわ)漁だということがわかった。多数の釣り針のついた縄に餌をつけ、海に仕掛けて回収する漁法だ。また北海と中国沖では、底引き網を使うトロール船が多く見られた。

 データからは、公海で何が行われているかを示す有用な情報も得られた。国の管轄下にある沿岸の海域とは違い、公海には監視の目が届きにくい。公海での漁の85%は、中国、スペイン、台湾、日本、韓国によるものだった。(参考記事:「国連が公海の保護条約協議へ、「海洋版パリ協定」」

漁業が行われる時期

 人工衛星のデータによれば、海洋動物と異なり、人間の活動は環境の影響をあまり受けていない。とはいえ、その活動にパターンがないわけではない。

 たとえば、旧正月の期間は中国漁船の操業が大幅に減ることがわかった。他の国の漁船は、クリスマスと正月休みの間に大幅に減少していた。また、禁漁期を設けている地域では、当該期間中は漁が控えられていた。さらに、燃料価格の高騰が、漁業に大きな影響を及ぼしたこともわかった。

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