宇宙に打ち上げられた自動車、地球に衝突の可能性

放たれた車はどこへ? 科学者がシミュレーションした

2018.02.17
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【動画】打ち上げの舞台裏:ファルコンヘビーの打ち上げを見守るイーロン・マスク氏。(解説は英語です)

 レイン氏らの計算によれば、テスラが火星にぶつかる可能性はゼロと言ってよい。しかし、100万年以内に地球に衝突する確率は6%、金星に衝突する確率は2.5%であるという。どちらの数字も、地球近傍天体(地球の軌道と交差する軌道をもつ小天体)が地球に衝突する確率とだいたい同じだが、それは意外ではないだろう。(参考記事:「2016年3月5日に小惑星が地球スレスレを通過」

 最初の100万年が過ぎると、車が接近するたびに地球か金星に衝突する確率は上がっていき、300万年後には、地球に衝突する可能性は11%になるという。「衝突頻度はほぼ一定なので、期間が長くなるほど衝突の確率は上昇します」とレイン氏は説明する。

終焉の地は地球か太陽?

 米アリゾナ大学の惑星力学を研究するレヌ・マルホトラ氏は、レイン氏らの研究はしっかりしたものだと言う。テスラ・ロードスターは宇宙ではかなりユニークな物体だが、質量と大きさが同じ自然物と同じふるまいをする。(参考記事:「標的は地球?小天体接近」

「テスラと同じ大きさの地球近傍天体が毎年地球に衝突する確率を、私もざっと計算してみました。それに、この程度の衝突は、ふつうは誰にも気づかれません」と彼女は言う。

 テスラが衝突する可能性が最も高い天体について、マルホトラ氏は「太陽である可能性が最も高いと思います」と言う。その時期も、数千万年後ではなく数百万年後との予測だ。「その次に高いのが、地球に衝突する可能性です」

 とはいえ怖がる必要はない。テスラが地球に帰還する頃には、あなたはとっくにこの世を去っている。それに、この程度の大きさなら地球への脅威にはならない。地球の大気が将来どんな状態になっているにせよ、小さな車は、大気に突入した途端、ほとんど燃えてしまうだろう。(参考記事:「恐竜絶滅、小惑星の落ちた場所が悪かったせい?」

「一部の破片は地面に落ちてくるかもしれません」と語るのは、米ハーバード・スミソニアン天体物理学研究所のジョナサン・マクダウェル氏だ。「大気に突入すると非常に高温になりますが、一方でスピードもかなり速いですから。個人的には完全に燃え尽きると思いますが」

文=Nadia Drake/訳=三枝小夜子

おすすめ関連書籍

宇宙48の謎

地球外生命体を探せ!

『ナショナル ジオグラフィック別冊』シリーズの第5弾。最新の宇宙像、宇宙理論を、イラストや写真をふんだんに使い、わかりやすく解説した科学入門書。

定価:本体1,400円+税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加