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ニュージャージー州シーサイドパーク で、骨組みと合板だけの姿で持ち上げられ、新しい基礎の完成を待つ家。PHOTOGRAPH BY IRA WAGNER

 地上ではごく普通の家も、地面から離れるとまったく違って見える。

 スーパーストーム・サンディが米国ニュージャージー州の沿岸を襲ったのは2012年10月末。自宅の被害が少なかった住民たちはその後、家を支柱の上に載せ、基礎を打ち込み、床を地面から高くかさ上げし始めた。新しい建築基準に合わせたり、保険料を下げたりするためだが、愛着のある土地にとどまりたいという思いもあるだろう。

 全長およそ200キロにわたる海岸線で次々とかさ上げされる家々を、私は2013年から記録してきた。サンディの被害をほとんど受けなかった家もあるが、大きく損傷した家もある。家をかさ上げするには、15万ドル(約1700万円)もの追加費用がかかる場合があるし、被災者の避難生活も長引くことになる。

 撮影を始めてから、このようにかさ上げをすることが賢明なのだろうかと、自問せずにはいられなかった。サンディが引き起こしたほどの甚大な災害の後でも、人々は同じ場所に家を再建する。だが科学者たちは、気候変動が海面上昇とさらなる異常気象をもたらすと警告している。私たちは、住むこと自体がもはや安全でも現実的でもない場所があるという事実から目を背けているのではないだろうか。

 巨大な自然災害に襲われたとき、人々は災害の衝撃的な光景に目を奪われ、その後のことにはあまり注意を払わない。だが土地を埋め立てて、がれきの中で家を再生するのは、骨が折れるし、覚悟のいる大仕事なのだ。

※ナショナル ジオグラフィック2月号特集「大嵐から立ち上がる家」では、米国ニュージャージー州で嵐の後にかさ上げされた家々を写真で紹介します。

写真・話=アイラ・ワグナー