土星の環ができたのは意外と「最近」だった?

探査機カッシーニの観測結果から1~2億年前の誕生と推定

2018.01.12
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カッシーニのカメラがとらえた土星の環。(PHOTOGRAPH BY NASA, JPL-CALTECH, SPACE SCIENCE INSTITUTE)

環はどうやって形成されたのか

 では、土星の比較的若い環はどうやって形成されたのだろうか。

 土星に衝突しそうな大型の彗星や隕石は、昔ほど飛んでこない。だが、外部からの物体ではなく、土星が自らの衛星を吸収したとしたらどうだろう。

 クック氏が作成したモデルによれば、土星は氷の衛星を何個も従えて、太陽の周りを数十億年間周り続けていた。ところが1億年ほど前のある日、太陽の重力が土星に最も近い衛星をいくつか揺り動かした。

 土星は太陽からはるか遠く離れているが、クック氏のモデルによると、軌道上のある地点で、小さな氷の衛星が太陽の重力の影響を受ける場所があるという。そこで太陽にちょっとした遊び心が芽生え、衛星の軌道をずらし、衝突させ、粉々に砕いたのではないかというのだ。(参考記事:「太古の地球に2つの天体が同時に衝突していた」

 その結果、土星の周囲に一時的に巨大な環が形成された。生まれたばかりの環は今よりも10倍も大きく、明るく輝いていた。

 クック氏の説が正しいとすれば、環だけでなく、衛星レアよりも内側にある衛星たちも、基本的にすべて最近になって生まれたということになる。古い衛星が衝突して砕け、土星が落ち着きを取り戻した後、現在のような衛星になった。タイタンやイアペトスなど、外側を回る衛星ははるかに古い。だがそうすると、間欠泉を吹き出すエンケラドスも新しく、生命が進化するには若すぎるということになる。(参考記事:「まるで地球、衛星タイタンの驚くべき写真」

 また、エンケラドス、レア、ディオネ、ミマスの表面を覆う複雑なクレーターの地形が、かなり古く見えるという問題もある。

 新しいか古いかの結論を出すのはまだ難しいが、いずれにしろ土星の環が近い将来消えてなくなることはなさそうだ。クジ氏は言う。「とても安定していますから、これから先も長い間存在し続けると思います。ただ、時とともに輝きは失われていくでしょう」

ギャラリー:さよならカッシーニ、写真で振り返る輝かしき偉業 19点
土星な美しく詳細な姿のほか、木星やエンケラドスも。クリックでギャラリーへ。

文=Nadia Drake/訳=ルーバー荒井ハンナ

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