衝撃、ユキヒョウのバーラル狩り、初めて撮影

獲物を崖から落として仕留めるやり方も判明、中国西部のチベット高原

2017.12.27
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中国四川省の山を歩くユキヒョウ。ユキヒョウの目を初めて見たときのことは「私の記憶に刻まれており、永遠に忘れないでしょう」とワインガーテン氏は言う。(PHOTOGRAPH BY JED WEINGARTEN, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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俊敏さと運動能力の高さに驚嘆

 その日の狩りは失敗に終わったが、ユキヒョウが腹をすかせており、しかも近くに獲物がたっぷりといるのだから、そう遠くへは行っていないだろうとワインガーテン氏は考えた。

 翌日、撮影チームは夜が明ける前に同じ場所に戻って待機した。そう長くは待たないうちに、バーラルの群れを追って、再びユキヒョウが姿を現した。

「ノンストップでシャッターを切り続けました」とワインガーテン氏は言う。

 最初は、ユキヒョウとバーラルが一緒に坂を転がり落ちているように見えたそうだが、後から写真と動画を見直したところ、ユキヒョウがバーラルを突き落としてから、前に後ろに飛び跳ねながら獲物を混乱させて、とどめを刺すチャンスを見極めていることがわかったという。

「ユキヒョウの俊敏さと運動能力の高さに驚かされました」

 ユキヒョウのこうした狩りの手法が判明したことも、ザーラー氏が今回のワインガーテン氏の成果を高く評価する理由の一つだ。

「これはすばらしい写真です。ここから得られる情報はどれも、これまでにわかっていたことよりも優れています」とザーラー氏は言い、専門家がもう一度現場に足を運び、さらに調査を重ねることもできるだろうと付け加えた。

ワインガーテン氏によると、狩りの最中、ユキヒョウとバーラルは垂直の斜面を200メートル以上転がり落ちたという。

減り続けるユキヒョウ

 研究者はこれまで、カメラトラップ(自動撮影装置)を利用してユキヒョウについての情報を集めてきたが、野生の生息数などの最も基本的な情報でさえ、いまだにはっきりとはわかっていない。

 野生の生息数はおそらく4000から1万頭だろうとザーラー氏は言う。

 2017年、推測生息数が以前よりも増えたことを受けて、国際自然保護連合(IUCN)はユキヒョウの分類を「絶滅危惧種(endangered)」から「危急種(vulnerable)」へと引き下げた。(参考記事:「【動画】100頭未満、ロシアのユキヒョウ」

 これはいい兆候だとザーラー氏は言うが、ユキヒョウの未来は安泰とはほど遠い状態だ。(参考記事:「絶滅危惧種ユキヒョウを脅かす気候変動と遊牧民」

「ユキヒョウの数は今も減り続けています。ただ減少のスピードがゆるやかになっただけなのです」

文=Carrie Arnold/訳=北村京子

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