【動画】赤ちゃんウミガメの体力測定、光害研究で

光を頼りに海へ戻る孵化後のウミガメ、迷子のもととなる人工光の影響は

2017.12.27
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世界のウミガメフォトギャラリー 写真12点

 カメの疲労度を測るため、研究者は空気中の酸素濃度とカメの呼吸数、血糖値、血漿(けっしょう)乳酸産生量を測定した。これらはエネルギー消費の指標である。また、タンク内で水をかく回数も記録した。「酸素の摂取量を知りたかったのは、要するにそれが持久力の指標になるからです」とミルトン氏は言う。

 結果は驚くべきものだった。カメたちは長い間這い回ってもあまり疲れておらず、それからさらに2時間、水をかき続けても平気だったのだ。

 米国のウミガメ保護団体「Sea Turtle Conservancy」の事務局長デイビッド・ゴドフリー氏は「この動物は体力の回復が早いのです。まだ泳ぐ余力がありました」と説明する(同氏は今回の研究には関与していない)。(参考記事:「【動画】ウミガメの子、毒もつクラゲを食べる」

ビーチは危険がいっぱい

 一方で研究者らは、フロリダ州ボカラトンの浜で孵化した野生のアオウミガメとアカウミガメの観察も行った。この浜では、光害のある場所と自然の暗さが残る場所のどちらにもウミガメが巣を作っている。

 研究室内の子ガメと同様に、光害のある場所のカメは這っては休むを繰り返し、浜にいる時間が長くなった。自然の暗さが残る場所の、方向を見失わなかったカメは、まったく休むことなく、真っすぐ海に向かった。

 結局のところ、カメは休憩すれば回復するが、休むことで浜にいる時間が長くなり、捕食者、脱水状態などの危険にさらされやすくなるということだ。(参考記事:「【動画】頭が2つあるカメが見つかる、元気に海へ」

 そしてゴドフリー氏によれば、運良く波打ち際までたどり着いたとしても、安全なメキシコ湾流に乗るには、まだ沖へ向かって50キロも泳がなければならない。

 この研究は孵化したばかりのウミガメに2時間泳ぎ続ける力があるかどうかを分析しただけだが、自然保護活動家や政府機関に、ウミガメの保護に役立つ貴重なデータを提供するものだとゴドフリー氏は評価する。「私たち自然保護活動家にとって、最も重要な道具に挙げられるのが、科学の道具と査読付きの論文です」(参考記事:「ウミガメの卵、1万9000個を押収」

 ミルトン氏は今回の研究について、ウミガメは水中で疲れを見せなかったが、光害によってウミガメが陸にいる時間が長くなり、ほかの危険にさらされるという仮説を裏づけるものだと主張する。そして、今回は短時間のテストしかできなかったが、ウミガメの泳ぎを24時間観察できれば、より多くの情報が得られるだろうと話している。(参考記事:「カメはホントに長生きか?」

「孵化したばかりのウミガメが疲れ知らずだとしても、浜に長時間いるのはやはり好ましいことではありません」

文=Elaina Zachos/訳=山内百合子

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