サルと人間の子どもが仲良しに、動画が話題

「サルと人間の友情は成立するのか?」専門家に聞いた

2017.12.07
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サルは人を助けるか?

 サルが人間の遠い親戚ではあることは確かだが、彼らの方が我々をそうした存在として見ているとは考えにくいと専門家は言う。

「サルはきわめて日和見主義的な動物です」と、ナショナル ジオグラフィック協会の主任研究員で、霊長類の研究で博士号をとっているルイーザ・アルネド氏は言う。

 動画の少年のように、インド南部で人間が食べ物を持ってサルに近づくことは日常茶飯事だ。アルネド氏によると、このグループのサルは非常に社交的な性格だという。彼らは15匹ほどが集まった母系制の群れで暮らしており、群れの中には通常、多くの子どもが含まれる。そこでは個体同士が互いへの共感を表現する行動もよく見られる。(参考記事:「みんなで子育てするハヌマンラングール」

「友情と協力は、群れが生き残るうえで重要な要素です」とアルネド氏は言う。

「マカク属のサルでは、よその子どもを家族に迎え入れることも珍しくありません」と語るのは、米ノートルダム大学の人類学者アグスティン・フエンテス氏だ。しかしながら、同様のことが別種のサルの間で起こる可能性は低いと考えられるという。(参考記事:「【動画】まるで兄弟、子チーターと犬の動画が話題」

 アルネド氏もフエンテス氏も、調査対象のサルと深い絆を持つようになった経験を持つ。

「長い間サルと一緒に過ごしていると、自分も群れの一員になったような気持ちになります」とアルネド氏は言う。しかし人間と同じように、サルの性格も、環境要因やそれぞれの個性によって形成される。たとえば密猟が盛んな地域で暮らすサルは、人間からエサをもらっている地域のサルに比べて、人間に対して攻撃的になる場合もある。(参考記事:「世界で相次ぐ動物園事故、ゴリラ射殺は氷山の一角」

「友達になった」最大の理由は

 インドのサルが少年と「友達になった」一番の理由については、二人の専門家の見解は一致している。それは彼がサルにエサを与えていたということだ。少年の体が小さく、成人の人間に比べてさほど脅威に感じられなかったことも要因のひとつかもしれないが、フエンテス氏は、サルの中には人間の個体の違いを見分けられるものもいると指摘する。

「男性と女性、子どもと大人の違いを見分けるサルもいます。さらに一部のサルは、出身国の違いを見分けることもできると考えられています」。違う地域から来た人間は、その土地独特の振る舞いをする傾向にあり、「サルはそれを目ざとく見つけるのです」と彼は言う。

 いずれにせよ専門の訓練を受けていない人間は、どんな場合であろうとも、野生のサルに近づくべきではない。そうした行為は、サルに噛まれる、病気をうつされるといった人間への被害だけでなく、人間の病気がサルに感染したり、彼らの自然の食事や行動パターンに影響を与えたりする危険がある。野生観察においては、常に安全かつ相手を尊重した距離を保つことが肝要だ。(参考記事:「天狗も孫悟空も! サル特集まとめ」

文=Sarah Gibbens/訳=北村京子

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