【動画】北極クジラが岩場で「あかすり」、初確認

積極的に「脱皮」する行動を確認、カナダ・バフィン島

2017.11.28
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 2016年の夏、フォーチュン氏は再びカンバーランド湾を訪れた。今回は、クジラの邪魔をすることなくその行動を監視できるドローンを携えていた。ドローンの映像から、この海域にいた81頭のクジラのすべてに皮膚の表面が剥がれた形跡があり、40%のクジラは全身の3分の2以上の皮膚が剥がれていた。

 アンダーソン氏は以前にも、同じくカナダの北極圏に生息するシロイルカ(Delphinapterus leucas)で同様の現象が見られることを確認している。ホッキョククジラとは違い、シロイルカは、バフィン島の北西にあるサマーセット島のカニングハム入江の「あかすりエステ」まで、数百kmも移動する。

「彼らは岸の近くまで泳いできて、岩に体をこすりつけます。私たちはこの行動を『キャタピラー』と呼んでいます。入江に流れ込む暖かい淡水は、皮膚をやわらかくしてふやかすのに役立ちます」とアンダーソン氏。

【参考動画】オーストラリア近海の白いザトウクジラ
オーストラリアの東海岸の沖で、非常に珍しい白いザトウクジラが確認された。(参考記事:「【動画】全身が真っ白! 幻の「白いザトウクジラ」」

一皮むけた泳ぎ

 脱皮する動物はクジラだけではない。昆虫や爬虫類は、成長するために外皮を脱ぎ落とす。鳥類や多くの哺乳類にも換羽や換毛があり、アンダーソン氏は、クジラを含む哺乳類や鳥類では同じ仕組みでこうした現象が起きていると考えている。

フォーチュン氏は、クジラの脱皮は、皮膚に付着した寄生生物や日焼けした皮膚を除去して健康を保つのに役立っている可能性があると言う。カンバーランド湾が比較的暖かいおかげで、クジラが脱皮しやすくなっているのかもしれない。

 アンダーソン氏は、脱皮は流体力学効率(水中で運動するために、どのくらいのエネルギーを要するかの尺度)の向上にも役立つと考えている。岩や船舶、ほかのクジラと接触すると、クジラの皮膚がザラザラになって、泳ぐのが遅くなるからだ。

 私たちは知らないけれど、クジラたちにはまだまだほかにも「行きつけのエステ」があるかもしれない。(参考記事:「【動画】メスがオスを誘惑?巨大クジラの貴重映像」

文=Carrie Arnold/訳=三枝小夜子

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