クジラにも利き手が? 海面近くでは、ほぼ左回り

浅い場所での捕食には、右目を使うのが好都合なためか

2017.11.24
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 水深60メートルより深いところでは、オキアミは密集している。その場合、クジラはわずかに右に回転しながら獲物の群れに突入することが多い。一方、オキアミがさほど密集していない海面近くでは、180度以上体を回転させている。おそらく、多くの獲物をつかまえようとするための行動だろう。

 予想外だったのは、浅い場所では、右に回るよりも左に回るクジラが多かったことだ。フリードランダー氏は、その理由をクジラの目と脳のつながりによって説明できるのではないかと考えている。

【参考動画】シロナガスクジラの求愛行動
複数のオスが高速で泳ぎながら決着をつける「ヒートラン」を初記録。(解説は英語です)(参考記事:「【動画】メスがオスを誘惑?巨大クジラの貴重映像」

大きく賢いクジラたち

 多くの動物と同じくクジラも、右目は脳の左半球と、左目は脳の右半球とつながっている。脳の左半球は、主に習慣的な行動をつかさどる。また、人間に右利きと左利きがいるように、脳にも右と左で機能に偏りがあり、「側性化」と呼ばれる。(参考記事:「人類最古の右利きの証拠を発見、180万年前」

 目が正面を向いている人間とは異なり、クジラの目と目の間隔は広い。そのため、「クジラが浮上する際に左向きに回れば、右目が上を向き、そこに獲物が映ることになります」

 つまり、フリードランダー氏は、クジラがオキアミの群れに突入するという行動には、脳の左半球につながっている右目を使うほうが都合がいいのではないかと考えている。この研究は、11月20日付の科学誌「カレントバイオロジー」で発表された。

「彼らは、草を食べる動物ではありません。狩りの際には、様々な判断を行っています。そのほうが柔軟に動けますし、そうである必要があります」

 今回の研究に携わってはいないが、米ペンシルベニア州ウェストチェスター大学の海洋生物学者フランク・フィッシュ氏は、「こういった動物について、質の高いデータを収集できるのはすばらしいことです」と話している。「側性化を示すデータは、とても信頼できると考えています」

 なぜ側性化が生じたかについては、神経学的に詳しい研究を行わないと正確には判断できないとフィッシュ氏は語る。しかし、体の右側を使うか左側を使うかに偏りがある動物が人間以外にもいることは、まず間違いないだろう。(参考記事:「“左利き”の生き残り戦略」

文=Carrie Arnold/訳=鈴木和博

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