地球に飛来する反物質の起源に新説、議論白熱

大気中の過剰な陽電子、パルサー由来を否定、サイエンス誌

2017.11.21
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意見は真っ向から対立

 地球大気中の過剰な陽電子はパルサーから来たとする研究で知られるフーパー氏は、ロペス・コト氏らの今回の結果を認めない。フーパー氏は、星間物質が粒子の拡散を妨げているとする彼らの解釈は間違っていると考えている。PAMELA観測衛星や国際宇宙ステーションに搭載された装置を使って行われた過去の観測の結果は、陽電子やその他の粒子が地球の近くの空間を効率よく拡散するという理論とよく一致しているからだ。

 ロペス・コト氏らは、過剰な陽電子は超新星残骸や暗黒物質の対消滅によって説明するべきだとしているが、どちらもあまりよい説明ではないだろう。フーパー氏は、研究チームがパルサーの可能性を除外するなら、同じ理由から超新星残骸も除外されると言う。

「彼らが言うように星間物質が本当に陽電子を通過させにくいなら、地球から最も近い超新星でもゲミンガやモノジェムと同じくらい離れているのですから(約800光年)、超新星残骸からの陽電子も地球にはほとんど届かないはずです」

 米マサチューセッツ工科大学の理論物理学者トレーシー・スラットヤー氏は、暗黒物質による説明に対して首をかしげる。過剰な陽電子が最初に観測されたとき、科学者たちは、暗黒物質の対消滅によって物質と反物質が生成したのかもしれないと考えた。(参考記事:「アンドロメダ銀河が2つの巨大な「泡」を噴出?」

 しかし、暗黒物質は宇宙の質量の大部分を占めていると考えられるため、それが本当なら、あらゆるところで対消滅の痕跡が見られるはずだ。しかしそんな痕跡は見られない、とスラットヤー氏は言う。

「個人的には、暗黒物質の対消滅ではないと思います。けれどももし誰かが『私は100年後の未来からタイムマシンでやって来たの』と言ったとしたら、私は驚くでしょうが、『そんなはずがない』とは言わないでしょう」とスラットヤー氏。

「むしろ、そのときはタイムマシンの前で彼らの言うことを信じるでしょうね」

文=Nadia Drake/訳=三枝小夜子

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