サメの寿命、通説より数十年長かったと判明

ホホジロザメはじめ多くの種で過小評価されていた、保護策に影響も

2017.11.16
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よい場合、悪い場合、有害な場合

 1970年代からサメの年齢測定を行ってきた米カリフォルニア、モス・ランディング海洋研究所のグレガー・カリエ名誉教授は、輪紋法には、よい場合と悪い場合、そして有害な場合があると言う。

「よい場合とは、輪紋と年齢が実際に一致するケースです。悪い場合とは、何も読み取れないとき。有害な場合とは、輪紋の数と年齢が一致しない状況です」

シロワニも、従来考えられてきたよりも長生きである可能性が高い。(PHOTOGRAPH BY DAVID DOUBILET, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 ハリー氏による分析を見ると、特に高齢のサメの年齢測定の難しさがよくわかるとカリエ氏は言う。

 研究者らが発見したより信頼性の高い測定方法は、サメの輪紋の放射性炭素同位体を調べるというものだ。この同位体は、核実験が大気中に放射性炭素を撒き散らした1950年代、60年代に生きていたサメの体において、「タイムスタンプ」のような役割を果たす。

 たとえば2007年に、ニュージーランド沖のニシネズミザメの同位体を調べたところ、輪紋から読み取った年齢の倍以上という、65歳を超える個体が複数確認された。(参考記事:「【動画】深海を泳ぐギンザメがカメラに衝突!」

「だからこそ心配なのです」

 サメの年齢についてはさらなる研究が必要だ。既知のサメとエイ1200種のうち、これまで研究対象となったのはわずか数十種に過ぎない。(参考記事:「世界でサメを撮ってきた」

 しかしハリー氏の研究結果だけでも、大いに懸念すべきだとバージェス氏は言う。「私は、従来の輪紋法が示す年齢よりもサメはずっと長生きであると確信しています。だからこそ心配なのです」(参考記事:「ギンザメのメスで精子貯蔵庫を発見、数年保存も」

 なぜなら、サメを保護するためのガイドラインが寿命を基準に決定されているからだ。寿命を短く見積もると、数が減少している種に有害な影響を及ぼす恐れがある。

 たとえば、オレンジラフィーという深海魚がいる。この魚は、かつては寿命が30年程度と考えられており、漁のガイドラインもそれに合わせて決められていた。しかしその後、彼らは100年以上の寿命があり、性的に成熟して繁殖するには、従来考えられていたよりもずっと長い時間がかかることが判明した。オレンジラフィーは、今もまだ乱獲の影響から完全には回復していない。(参考記事:「ニュージーランド沖の海山を泳ぐオレンジラフィー」

 しかし、それが科学というものだとバージェス氏は言う。

「我々が口にする福音は、不変ではありません。それは砂に指先で書いた文字のようなものです。次にやってくる波に洗われれば、我々はまた法則を書き換えるのです」

文=Elizabeth Armstrong Moore/訳=北村京子

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