【動画】センザンコウ101匹を保護、密輸船から

「世界で最も密売されている哺乳類」、インドネシア沖

2017.11.02
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【動画】密輸する漁船から101匹のセンザンコウを押収した。(字幕は英語です)

 10月24日、インドネシアのスマトラ島の東沖で、漁船に対して抜き打ち捜査が行われ、生きたセンザンコウ101匹が押収された。

 インドネシア海軍の声明によると、当局は、センザンコウをマレーシアへ輸送するために雇われたと話す2人の男を逮捕した。海軍は地元から内密に情報を得ていたという。(参考記事:「1.3億円相当、センザンコウのウロコ4トン押収」

 この一件から、センザンコウの密輸業者たちが手口を変えつつあることが明らかになった。野生動物の取引に詳しい野生動物保護協会インドネシア事務所のドゥウィ・アドヒアスト氏によると、密輸業者たちはこれまで主要な国際港しか扱えない大型冷凍コンテナを使っていたのに対し、今では小さな港から生きたセンザンコウを少数だがより定期的に運び出すようになっているという。(参考記事:「ワシントン条約会議が浮き彫りにした9つの現実」

「税関による取り締まりが厳しくなり、(大きな)港で何トンもの冷凍センザンコウが見つかって10名以上が逮捕されました。それ以降、密輸業者はやり方を変えたんです」。同氏は電子メールでの取材にそう答えている。

 センザンコウは、「世界で最も密売されている哺乳類」と言われており、毎年数万匹が密猟されている。大きさはイエネコほどで、「ウロコのあるアリクイ」と呼ばれることもある。ポケモンに登場する「サンド」のモデルになったのもセンザンコウかもしれない。危険を感じるとアルマジロのように丸くなる。これは捕食者には有効だが、密猟者には逆効果だ。(参考記事:「クモのお尻がピカチュウ! 獲物をゲットするため?」

肉は珍味、ウロコは伝統薬に

 センザンコウの闇取引はアジアで活発だ。特にベトナムや中国では、肉が珍味とされ、その効果は科学的に証明されていないものの、ウロコが伝統薬の材料に使われている。男性の精力剤になるという、センザンコウの胎児のスープという料理まである。報告によると、センザンコウのウロコの取引価格は、1匹あたり2700ドルだ。

 野生のセンザンコウがどのくらい残されているのかはわからない。しかし、アジアに生息する4種類のセンザンコウはいずれも絶滅危惧種または近絶滅種に分類されている。すなわち、彼らは絶滅の危機に直面しているという意味だ。アフリカに生息する4種類については、絶滅危惧種のレベルではないものの、危急種と考えられており、密猟者に狙われることが多くなっている。(参考記事:「センザンコウ、密猟で絶滅の危機」

 漁船で押収されたあと、101匹のセンザンコウのうち4匹が死んだ。AFP通信によると、残りは近隣の国立公園に放されるという。しかし、ふたたび密猟者の手に落ちないという保証はない。(参考記事:「センザンコウの不思議な舌」

 インドネシアでは、野生動物の違法取引が横行している。国連は、その規模を年間数十億ドルと見積もっている。地元の住民が違法に野生動物を捕まえて、ディーラーや犯罪シンジケートに売り払い、その後国外に持ち出されるケースが多い。

 今回逮捕された容疑者は、最大で5年の懲役と7300ドルの罰金を課されることになる。この金額は、インドネシアの1人あたりGDPの半分以上にあたる。

文=Rachael Bale/訳=鈴木和博

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