バスコ・ダ・ガマ艦隊の天測器、3D技術で判明

500年前に沈没したエスメラルダ号、世界最古の「航海用アストロラーベ」

2017.10.27
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ポルトガル王室の紋章(上部)とマヌエル1世の個人的紋章である古代の天球儀(下部)が刻まれた「アストロラーベ」。(PHOTOGRAPH BY DAVID MEARNS, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 2014年に中東オマーン沖で発見された沈没船の残骸のなかに、500年前の銅製の小さな円盤が見つかった。これは「アストロラーベ」と呼ばれる航海用の道具ではないかと考古学者らが考え、3Dスキャンにかけたところ、表面にうっすらと目盛線が刻まれていることが新たに判明した。

 円盤はやはりアストロラーベだったことが確認された。これまでに見つかっている大航海時代のものとしては、最古のものと考えられる。(参考記事:「【動画】古代ギリシャの沈没船で謎の円盤を発見」

 円盤が見つかったのはエスメラルダ号と呼ばれる沈没船で、ヨーロッパからインドへの海路をひらいたポルトガルの探検家バスコ・ダ・ガマが、1502~1503年の航海で率いた船団に属していた。(参考記事:「バスコ・ダ・ガマ艦隊の沈没船を発見」

「位が高い」刻印

 2014年、ブルー・ウォーター・リカバリーズ社の海洋科学者デビッド・L・ミアーンズ氏率いる発掘チームは、海底でほかの多くの遺物とともに砂に埋もれていたこのアストロラーベを引き揚げた。それから2年後の2016年に、海洋考古学誌「International Journal of Nautical Archaeology」に掲載された中間報告書で、チームは円盤が船のナビゲーションに使われていたという説を提唱していた。

 円盤の上半分には、ポルトガル王室の紋章が、下半分には古代の天球儀が刻まれている。ミアーンズ氏によれば、紋章はポルトガル国王マヌエル1世の個人のものだという。これらの刻印により、円盤がエスメラルダ号の物品のなかでも「位が高い」ことを示していた。(参考記事:「300年前の沈没船から財宝、王室献上コインも」

 また、刻印から円盤がナビゲーションに使われていたと想像できたが、はっきりしたことが言えるまでにはもう少し証拠が必要だった。

 そこで、ミアーンズ氏は英ウォリック大学のマーク・ウィリアムズ教授に協力を依頼した。氏はエンジニアリング・チームを率いてオマーンに飛び、500年前の円盤を詳しく調査。1秒あたり8万測定点を計測するレーザースキャナーを駆使して、解像度の高い3D画像を作ることに成功した。(参考記事:「沈没した「呪われし軍艦」をスキャン、3Dで再現」

 すると、画像には肉眼では見えなかったものが写し出されていた。中心の穴から18本の線が放射線状に、5度間隔で伸びていたのだ。

次ページ:18本の線がわかる3D画像

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