顔が2つある子ネコが生まれる理由は?(字幕は英語です)

 ぎょっとする特徴を持つ子ネコが中国で生まれた。顔が2つあったのだ。

 中国西南部の重慶から届いた映像には、めったに見られない姿をした、誕生間もない子ネコが収められている。小さな頭には2つの顔があり、それぞれについた口と鼻が別個に鳴き声を上げたり、ひくひく動いたりしている。一方の顔は白い毛に覆われ、もう一方は黒いため、ひときわ強い印象を与える。しかし、2つの顔を支える体は1つしかない。

 この子ネコはたった2日しか生きられずに死んでしまったという。こうしたまれな病気のネコにはよくあることだ。このようなネコはしばしば「ヤヌスネコ」と呼ばれる。顔が2つあるローマ神話の神、ヤヌスにちなんだ名だ。(参考記事:「【動画】頭が2つあるカメが見つかる、元気に海へ」

 短命ながら重慶の子ネコはインターネット上で注目を集めたものの、最も有名なヤヌスネコには遠く及ばない。

 その称号にふさわしいのは、「フランクとルイ」というネコだろう(フランケンルイと呼ばれたこともある)。このヤヌスネコは15歳まで生き、2014年に死んだ。この状態のネコとしては世界最高齢だったとして、ギネス記録を保持している。(参考記事:「頭が2つあるサメの報告が世界で増加、原因不明」

 米ミズーリ大学獣医学・獣医外科学部の研究者で、ネコの遺伝学が専門のレスリー・ライオンズ氏は2014年、著名なフランクとルイについてのインタビューで、ネコの顔が2つになる原因は完全には解明されていないものの、さまざまな遺伝子が関与していることが知られていると話した。

 ライオンズ氏によれば、たとえば、ヤヌスネコはソニック・ヘッジホッグ(SHH)というたんぱく質を異常に多く持っていると考えられるという。このたんぱく質は同じ名前の遺伝子SHHに基づいてつくられ、目、鼻、口といった典型的な顔の特徴の発達の仕方を決めている。研究室での実験では、ニワトリの胚(受精して間もない初期の段階)に高レベルのSHHたんぱく質を注入すると、くちばしが2つある鳥や、両目の間が広くあいた鳥に成長した。

 遺伝子に関する異常は、1つの顔が二分されたネコを作り出すこともある。2012年に画像が出回って一躍有名になったネコの「ビーナス」は、顔の半分が黒、もう半分がオレンジ色だった。発達の過程で起こった遺伝子の変化が、不思議な毛色を作り出した例だ。(参考記事:「“2つの顔”のネコ、「ビーナス」の謎」

 2つの顔を持って生まれることがある動物はネコだけではない。同様の異常はどんな哺乳類にも起こり得るが、生存の見通しは往々にして厳しい。顔が2つあることで、両者に共有される内臓に負担がかかる可能性がある上、野生の場合はより強い動物の獲物にされやすい、餌を食べにくいといった難題があるからだ。(参考記事:「動物の奇形:3つ目のカニ、双頭のカメ」

文=Sarah Gibbens/訳=高野夏美