飼育カエルを売れば、野生のカエルを救えるのか?

500超のカエルが生息するエクアドル、違法取引に対抗する手段が物議

2017.09.13
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 科学誌「Global Ecology and Conservation」に掲載されたその論文は、野生動物の飼育が状況を改善させるための条件として、次の5つを挙げている。合法的に飼育された動物が、捕獲された野生動物と品質のうえで同等であること、その動物に対する需要が飼育動物によって十分満たされること、生産コストが闇市場での供給者のコストを上回らないこと、飼育動物を補充するために野生動物に依存しないこと、飼育会社が違法取引の隠れ蓑とならないことだ。

 最後の点を監視することが非常に重要だと述べるのは、野生動物の専門家クリス・シェパード氏だ。同氏は野生動物の違法取引を生涯の研究テーマとしていて、ウィキリ社とのつながりはない。近年は東南アジアを注視しており、そこでは飼育下での繁殖プログラムが堕落し、密猟とあまり変わらなくなっていると話す。

 野生動物取引の監視機関TRAFFICは、インドネシアでトッケイヤモリの飼育下繁殖が、より大規模で収益性の高い違法取引の隠れ蓑にされていたという報告書を発表した。シェパード氏は、このTRAFFICで仕事をしている。(参考記事:「約2万羽の鳥を違法販売、インドネシア3市場で」

 シェパード氏は、飼育下繁殖プログラムに適するのはごく一部の動物だと説明する。生殖のスピードが遅く、成熟期に達するまでに時間がかかれば、費用効率が悪くなる。その場合、大量に見つかる野生の動物を売るほうが、繁殖させるより利益が上がるだろう。

ウィキリは奏功するか?

 哺乳類よりは、カエルのほうが飼育下繁殖に適しているかもしれない。生殖のスピードが速く、場所も取らないからだ。多くは体外受精し、孵化するとオタマジャクシになる。AFP通信によれば、ウィキリは5000平方メートルの施設に、カエルを収容するテラリウム数百個を備えている。ナショナル ジオグラフィックでは同社に対し、価格の設定方法や将来の計画について何度かコメントを求めたが、回答は得られなかった。

 闇市場で1年間に違法に売買されるカエルの数は誰にもわからないものの、野生動物の違法取引による売上高は年間数億ドルに達するのではないかとTRAFFICは推測する。(参考記事:「トラ147頭を飼う寺院がトラを闇取引、タイ」

 米国の野生動物保護団体セーブ・ザ・フロッグスのウェブサイトによれば、このような違法取引の最も危険な経済的誘因は、需要である。米国では絶滅危惧種の輸入は違法だが、珍しい種を手に入れるためなら大金を払うことをいとわないコレクターは多い。

 エクアドルでは、野生動物を輸出することも違法だが、ウィキリはこの国の闇市場を利益の上がらないものにしたいという。はたして、一民間企業が金になる国際的なペット取引を減少させられるのか、現時点では未知数だ。(参考記事:「珍しい動物のペットが中国で人気上昇、心配の声も」

文=Sarah Gibbens/訳=山内百合子

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