2009年8月、春分や秋分のように土星のちょうど半分が太陽に照らされる姿(昼夜平分)をカッシーニは初めて目撃した。太陽は土星の赤道の真上に来ている。(PHOTOGRAPH BY NASA, JPL, CASSINI)
[画像をタップでギャラリー表示]

 9月15日、土星の空で輝くひと筋の光が1つの時代の終わりを告げる。NASAの素晴らしい土星探査機カッシーニが最期を迎えるのだ。(参考記事:「土星探査機カッシーニ、最終ミッションを開始」

 カッシーニが土星系の探査を開始したのは2004年のこと。それから13年にわたり、土星とその衛星の周りを自由自在に飛び回り、無数の指令を実行し、45万枚以上の画像を地球に届けた。(参考記事:「土星の環から地球が見えた、NASAが写真公開」

 燃料が尽きた後も永遠に土星系を周回させたいところだが、土星の大気に突入して自分自身を破壊することが、カッシーニの最後の科学ミッションになる。

「ミッションが終わる日が来るのはわかっていましたが、覚悟していたよりはるかに早く感じました」とカッシーニ・プロジェクトの科学者リンダ・スピルカー氏は言う。「最終日には、悲しみと、カッシーニの功績への誇りで胸がいっぱいになりそうです」

最期のミッション「グランドフィナーレ」

 9月11日、カッシーニは土星最大の衛星タイタンの重力を利用して、土星に衝突する軌道に入った。9月15日午前5時(日本時間)頃に最後の写真を撮影し、それ以降はずっと地球との交信を続ける。

 午後7時30分頃、カッシーニは土星の雲の頂から突入を開始する。大気との摩擦が大きくなるにつれて減速し、高温になり、崩壊が始まる。

 カッシーニはやがて発火し、土星の空を隕石のように横切ってゆくが、最後の瞬間まで地球の方を向いてデータを送り続けられるように自ら制御し続けるだろう。

 カッシーニからの最後の信号が届くのはおそらく午後8時55分頃だが、それは死後の世界から届くささやき声になる。オーストラリアの電波望遠鏡が土星からの信号を捉えるのは、カッシーニが息絶えてから83分後になるからだ。

 現時点では土星系のさらなる探査は計画されておらず、その後しばらく土星系から声が届くことはない。

写真で振り返るカッシーニの輝かしき偉業、17点
1997年10月15日の打ち上げの様子。フォトギャラリーはこちら(3ページ目)(PHOTOGRAPH BY NASA)

次ページ:タイタンとエンケラドスでの大発見