【動画】海で脚が血まみれに、犯人は?対策は?

痛みもなく知らぬ間に少年の脚を食べたのは何者か、オーストラリア

2017.08.08
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【動画】生魚を食べる端脚類。カニザイ君の父親が現場の海で捕まえたもの。端脚類は世界中の海に生息している。

ウオジラミか端脚類か

 動画がその生物だ。ウオジラミと同じく甲殻類だが、端脚類と呼ばれるグループの仲間である。(参考記事:「食欲も巨大、超巨大な端脚類」

 米スミソニアン自然史博物館の無脊椎動物学の専門家ジョン・ノーレンバーグ氏によると、ウオジラミと端脚類は混同されがちだという。

「端脚類をウオジラミとしてしまうのは、とてもよくある間違いです」とノーレンバーグ氏。世界中には端脚類の仲間がたくさんいる。ほとんどは植物食だが、なかには腐った肉を食べるものもおり、「とりわけ血液が好きなものもいます」(参考記事:「悪魔の指!流血する歯!見た目がホラーなキノコ6選」

 メルボルン、ビクトリア博物館の海洋生物学者ジェネフォー・ウォーカースミス氏は、カニザイ君の父親が捕まえた生物を調べ、ウオジラミではなく端脚類であることを確認した。氏はこれが真犯人であると考えている。

 ウォーカースミス氏は、すでに端脚類が食べていた魚の死骸の近くにカニザイ君が立っていたために被害にあったのではないか、とザ・エイジ紙に語った。(参考記事:「ヒトの死体の骨を食べるシカ、はじめて観察」

 氏によれば、事故が起こった海域には端脚類が実にたくさんいるという。したがって、父親が用意した魚の肉にごまんと群がっていたことも驚くに値しない。もしカニザイ君が海中で動き回っていたなら、彼の肌にとりつくことはなかっただろう。

 カニザイ君の怪我がこれほどひどくなったのは、筋肉の疲れを癒やすためにあえてじっと立ち続けていたからのようだ。カニザイ君に噛み付いたときに、ヒルなどもやるように、血を固まらないようにする化学物質を端脚類が放出したと考える研究者もいる。

 一方、ノーレンバーグ氏は端脚類犯人説に懐疑的だ。端脚類がそんな物質を放出できるという話を聞いたことがないという。カニザイ君の血が固まりにくいなど、何かしら特別な体質がないか検査すべきだと氏は提案している。

被害にあわないようにするには?

 端脚類が疑わしくはあるものの、疑問はまだ残っている。動画が示しているのは、カニザイ君がいた場所に端脚類がたくさんいるということにすぎない。

「カニザイ君の脚に噛み付いた端脚類を捕まえないことにはわかりません」とノーレンバーグ氏。

 オーストラリア、ニューサウスウェールズ大学の准教授であるアリステア・プーレ氏も、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで疑問を呈している。「生肉は海ではたくさんの動物を引き寄せます」

 2015年には、ある親子が同じビーチで似たような怪我をしている。その親子もカニザイ君のようにまったく痛みはなく、海から上がってはじめて出血に気づいたそうだ。ホースで水をかけて脚を洗ったときに、「オタマジャクシのような生きもの」に気づいたという。オタマジャクシに似ているといえば、端脚類よりウオジラミのほうだ。

 この事故を受けて、オーストラリア環境省のスポークスマンは次のようにコメントした。端脚類は健康な海の生態系の一部であり、ウェットスーツや適切なシューズで防ぐことができる。そして長い間、海の中でじっとしていないように。(参考記事:「相次ぐサメの襲撃、防衛策は?」

【お詫びと訂正】ジェネフォー・ウォーカースミス氏が確認した生物を当初「ウミノミ」といたしましたが、正しくは端脚類の別のグループでした。お詫びして訂正いたします。(2017/8/9)

文=Sarah Gibbens

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