【解説】月に隠された大量の水の証拠、米研究

今回の研究は何がスゴイのか、将来どう役立つのか?

2017.07.26
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【動画】月の内部には大量の水が隠されている(字幕は英語です)

 月には、これまで考えられていたよりも大量の水が存在するかもしれない。はるか昔の火山噴火によって作られたガラス粒子の分析から、新たな事実が判明した。

 自然の力によって生まれたこれらのガラス粒子は、1970年代、火山活動域の近くに着陸したアポロ15号、17号のミッションのなかで採集されたものだ。マグマが地表に噴出する際、内部に水を閉じ込める形で結晶化することによって形成された。

 しかしながら、これらのサンプルがたまたま発見された珍しい事例なのか、それとも他の火山から流出したマグマにも、同様に水を閉じ込めたガラスが含まれているのかについては、これまではっきりしたことはわかっていなかった。(参考記事:「アポロの月の岩から水を検出」

 今回、米ブラウン大学のラルフ・ミリケン氏とハワイ大学のシュアイ・リ氏は、アポロのサンプルを改めて精査し、また最新の衛星データを使って水を含む粒子の形跡が他の場所でも見つかるかどうかを検証した。その結果、これらの火山性堆積物はかなり広い範囲に分布していることが判明、論文が学術誌『Nature Geoscience』に発表された。これは月内部の物質に、従来考えられてきたよりも多くの水分が含まれていることを示している。

かつては月には水がまったくないと考えられていたが、最新の研究により、これが間違いであることがわかってきた。(PHOTOGRAPH BY NASA)
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「ガラス粒子に関する今回の発見は、火山の噴火が起こった時点で、月の内部に極めて大量の水があったことを示しています」と、論文のレビューを行ったNASAの科学者アンソニー・コラプリート氏は語る。

 月の水に関して、これまでにわかっていること、今回の研究の意味をQ&A形式でまとめた。(参考記事:「土星の衛星エンケラドスに生命はぐくむ素材」

これまでも月の水は見つかっていた?

 はい。しかしそれはつい最近になってからのこと。かつては、月は全体がカラカラに乾ききっていると考えられていたが、アポロ時代のガラス粒子を2008年になって調べたところ、初めて水の痕跡が見つかった。

 その後、月の水の発見が相次いだ。2009年にNASAは、さらなる水の痕跡を見つけるために、月の南極のクレーターにロケットと衛星を激突させる実験を行った。すると、水と水酸基(ヒドロキシ基)の存在を示す痕跡が見つかった。(参考記事:「月の水は太陽風が運んだ?」

 2010年には、月で採取された岩石のさらに詳しい分析によって、アパタイトという鉱物から水の痕跡が見つかった。こうした経緯から地質学者らは、月が岩の中にたっぷりと水を隠し持っているのではないかと考え始めた。当時、地質学者のフランシス・マッカビン氏は、月の内部にある水をすべて取り出したなら、月面全体を覆う深さ1メートル弱の海ができるという推測を発表している。(参考記事:「月の水は予測された量の100倍?」

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