【動画】野生タランチュラの命がけの劇的交尾

極めて珍しい野生での目撃例、オスが無事のケースも貴重、南アフリカ

2017.07.19
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 野生動物学を学ぶカナダ人学生ライアン・マクドネル氏は、南アフリカのリンポポ州でボランティアをしているときに、2匹のタランチュラに遭遇した。(参考記事:「動物大図鑑 タランチュラ」

 すると、小さい方のタランチュラが、脚を高速で踏み鳴らす「ドラミング」を始めた。クモ愛好家のマクドネル氏は、これがオスの求愛ダンスであることを知っていたので、すばやくカメラを取り出した。(参考記事:「メスを縛って交尾有利に、クモで判明」

「本当に興奮しました」と彼は言う。「自然界でタランチュラの交尾(交接)を目撃する可能性は皆無に近いのです。メスがいるところにオスが現れてから、だいたい5分以内に終わってしまうからです」

 動画では、オスのタランチュラがドラミングをし、体を揺すってから、お互いに近づいて、1分弱ほど脚を絡ませ合う。その間にオスはメスの生殖孔に精子を送り込み、大急ぎで逃げてゆく。(参考記事:「交尾の後にメスの交尾器を壊してしまうクモを発見」

 米カリフォルニア科学アカデミーの生物学者で、クモの生殖を研究しているサラ・クルーズ氏によると、このタランチュラはオオツチグモ科のバブーンスパイダー(Harpactira gigas)で、アフリカ全域に生息し、地面に巣穴を掘る。タランチュラの交尾は飼育下で観察されることはあるが、野生の個体の交尾を撮影した動画は珍しい。(参考記事:「【動画】求愛ダンス踊るクモの新種が7種見つかる」

 さらに、メスは交尾後にオスを食べてしまうことが多いため、両者が生きた状態で交尾を終えられた点でも珍しいという。(参考記事:「【動画】脚をチラッと見せてメスを誘うクモを発見」

 ナショナル ジオグラフィック協会のエクスプローラーでもあるクルーズ氏は、「オスは、間違えて別の種のメスと交尾しようとすることもあります。また、未成熟なメスと交尾をしようとして、食べられてしまうこともあります」と言う。(参考記事:「交尾前にオスを食べるコモリグモのメス」

究極のレディーファースト

 マクドネル氏が撮影した動画のメスのタランチュラは、言い寄るオスの2倍近い大きさに見えるが、クルーズ氏によれば、クモでは珍しいことではないという。

「メスは卵を守らなければならないので、より大きく、健康で、強くなくてはならないのです」と彼女は言う。「オスは交尾をしたらあとは死ぬだけです」

 また、通常クモは成体になると脱皮をしないが、タランチュラのメスは珍しく生涯にわたって脱皮を繰り返し、大きくなり続ける。(参考記事:「世界最大級タランチュラ、全長30cm」

脱皮して古い外骨格から抜け出すタランチュラ。(説明は英語です)

 強固な外骨格を持たないタランチュラのオスは、前脚の突起を使ってメスから身を守る。

 バブーンスパイダーのオスは、前脚を高く上げてメスに近づく。「この突起を利用してメスの牙を開かせ、顔を刺されないようにするのです」とクルーズ氏。それでもオスが逃げきれるとはかぎらない。逃げないオスもいる。ゴケグモのオスは、交尾後に空腹になったメスがほかのオスを求めないようにするために自分の身を捧げることが多い。(参考記事:「メスの交尾器を破壊するクモ、日本でも発見」

 オスのクモたちは、非常に大きな代償を払うことで、父親になる確率を高めているのだ。(参考記事:「“去勢”されたクモは戦闘に強い」

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