植物はイモムシを共食いさせて身を守る、初の発見

危険を察知してまずくなる植物、共食いを選択するイモムシ

2017.07.13
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コスパの問題

 それまで食べていた葉の味が急に変わると、イモムシは仲間のイモムシを食べ始める。「おいしくない植物を食べ続けるか、それとも仲間を食べるか、答えは明らかでしょう」と、オロック氏。(参考記事:「【動画】衝撃、子グマを食べるホッキョクグマ」

 植物を食べたイモムシと共食いしたイモムシの成長速度を比べてみたところ、どちらも成長速度に違いがないことがわかった。つまり、質の低い植物を食べなくても、共食いによってイモムシは成長できるというわけだ。

葉っぱがまずくなると、イモムシは共食いに走る。(PHOTOGRAPH BY BRIAN CONNOLLY)
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 研究チームのひとりで博士研究員のブライアン・コノリー氏は、「イモムシにとっての費用対効果分析です。植物の質が低下してしまった結果、代謝を続け、生き延びるために、できるだけ質の高い食べ物を周囲に探さなければならなくなるのです」と説明する。そうして、弱肉強食の法則にしたがって、体の大きなイモムシが小さなイモムシを食べる傾向にあると、オロック氏は言う。

共食いしてしまう理由

 今回の実験では、他に食べられるものがあればイモムシは共食いする前にそれを食べるのかについては検証されなかった。そこでオロック氏とコノリー氏は、イモムシに選択肢を与えるようなより広い設定のもとで実験を行っている。

 しかし、この新たな設定でも共食いの傾向はさほど変わらない様子だ。「動ける範囲が多少広がって、自分を食おうとする仲間から逃れられたとしても、やはり似たようなパターンでお互いを食べてしまいます」と、コノリー氏は言う。

 他にも食べ物があるのになぜ簡単に共食いに走ってしまうのか、その理由ははっきりしないが、オロック氏とコノリー氏はその点をこれから解明したいと考えている。(参考記事:「人肉はカロリー低め、旧人類はなぜ食べた?」

「ならば調べてみたらどうだということになりますよね。私たちもこれを最優先課題にして、データを実際に評価する準備を進めているところです」

文=Hannah Lang/訳=ルーバー荒井ハンナ

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