【動画】シャチ集団がクジラを襲撃、協力して捕食

めったに見られない光景をドローンで撮影、カムチャツカ半島沖

2017.07.11
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一番おいしいところ

 回遊型シャチは1家族が最大5頭から成り、連携して大型哺乳類を狩る。獲物を追いかけ、水中でのしかかって窒息させるのだ。(参考記事:「シャチの群れ、コククジラ母子を襲う」

 極東ロシア・オルカ・プロジェクトの生物学者で、今回の出来事を目撃したタチアナ・イブコビッチ氏は、「撮影されたシャチの集団は、おそらく2つの家族から成っていたようです。成獣、幼獣が共に含まれています」と語る。

「クジラ1頭を殺すのはとても大変で、かなりの労力を必要としますが、協力すれば可能です。クジラは巨体ですから、全員に餌が行きわたるという利点もあります」

 今回、シャチが真っ先にありついたのが、ミンククジラの舌だった。「一番おいしいところです」とイブコビッチ氏はいう。

「ですが、このシャチの群れは他の部位も食べて、残りを長いこと引っ張って行きました。後には背びれしか残っていませんでした」

 専門家は個々のシャチを識別するのに、背びれとその後ろにあるサドルパッチ(くら型紋)という模様に注目する。この大きさと色が個体によって異なるためだ。

 イブコビッチ氏によれば、研究者がこの群れを目撃したことはこれまでなかった。「初めて遭遇した可能性が高いです」とのことだ。(参考記事:「獲物を追い詰めるシャチの群れ」

謎の多い鳴き声

 シャチはコール、ホイッスル、クリックと呼ばれる音を発する。出した音の反響を感じ取ることで周囲の状況を知る「反響定位(エコーロケーション)」には、クリック音が使われる。群れごとに独自の方言が世代を超えて受け継がれ、このおかげでシャチは家族を見失わずに済む。(参考記事:「オキゴンドウの高度な反響定位能力」

 シャチの家族と社会構造の複雑さは、哺乳類のなかでもトップクラスだ。こうした鳴き声を研究することで、解明を進めることができる。

 だが、回遊型シャチは隠密行動のような狩りをするため、あまり話し好きではない。

【音声】狩りを成功させた後、シャチが立てた声。(画像のクリックで再生)

「哺乳類を食べるシャチは黙っている時間がほとんどで、狩りの後で鳴き声を発します。したがって、魚食性のシャチに比べると音響行動の研究が進んでいません」(イブコビッチ氏)

 今回ミンククジラを襲ったシャチは少なくとも2時間にわたって鳴き、反響定位を続けていたため、研究者たちには大きな収穫だった。研究チームは音声をさらに分析する予定。暫定的な分析結果からは、この回遊型シャチは定住型と同じくらいよく「しゃべる」らしいことがわかっているという。(参考記事:「イルカと話せる日は来るか」

文=Maria Antonova/訳=高野夏美

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