北米の針葉樹林で雷による山火事が増加、より北へ

気候変動の影響か、「世界最大の森」はどうなる?

2017.06.29
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雷による山火事の数が増加していることが新たな研究で明らかになった。(PHOTOGRAPH BY MARK THIESSEN, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 火災の傾向が大きく変わる夏が近づくなか、雷が原因で発生する山火事が北米で増加していることが、新たな研究で明らかになった。世界で最も大きな森林帯である針葉樹林にとって、これはよくないニュースだ。針葉樹林で発生する山火事のほとんどは雷が原因だからだ。

 気候変動に関する専門誌「Nature Climate Change」に6月26日付けで発表されたNASAの研究によると、1975年以来、雷が原因となる山火事の数は毎年2~5%のペースで増加している。雷雨自体が増えているせいだ。オランダ、アムステルダム自由大学の地球科学者で、論文の筆頭著者を務めたサンダー・ベラバビーク氏は、それぞれ2014年と2015年に起きたカナダ、ノースウエスト準州と米アラスカ州の大規模な火事がよい例だという。(参考記事:「北米、気候変動で落雷50%増加か」

 ノースウエスト準州では、約82%が雷による山火事だった。アラスカではその比率はさらに高く、95%にのぼった。どちらの森でも、雷に由来した山火事の数はかつてないほど多かった。研究者たちはこの事態を「北の森林限界付近における、例外的に高水準な焼失」と表現している。(参考記事:「【動画】炎上する大地、衝撃の山火事タイムラプス」

 この研究を始めた理由について、「巨大な山火事を見てあぜんとしたからです」とベラバビーク氏は話す。「いまや高緯度地方では、通常では18年に1度程度しか起こらなかった大規模な山火事が頻発しています」(参考記事:「【動画】「炎の竜巻」、山火事で発生」

 針葉樹の森は、北米やユーラシアの高緯度地方を覆う「世界最大の森」だ。これは地球の森林の約30%を占め、地表の炭素の約30%を蓄積している。気候変動と山火事の影響を受け、針葉樹林は他のどの地域よりも速く変容している。大規模な山火事は北に向かい、さらに北極地方のツンドラを焼く。泥炭が燃え、大量の炭素が排出される。(参考記事:「温暖化で平均気温8℃上昇の予測、北極が熱帯に」

「こういった山火事によって、歴史的に火災が起きなかった場所まで巻きこまれています。現在の炭素のバランスが崩れ、生態系が変化してしまうかもしれません」とベラバビーク氏は話す。(参考記事:「温暖化で極北狩猟民の天然地下冷凍室が危機に」

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