切なすぎる、水道でミイラ化した不運なカメレオン

温暖化の影響? 気温上昇でメスが減る爬虫類も

2017.06.23
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 干からびて死ぬなんて、さぞつらいだろう。しかし、愛らしい死体ができることもある。

 1匹の不運なインドカメレオンがそんな運命をたどることになった。実際のところはともかく、閉じた水道から水を飲もうとしているうちに息絶えたように見える。野生生物の映像も制作しているジャーナリストのジャナキ・レニン氏がインドで目撃した。(参考記事:「なぜか生まれたことに気づかない赤ちゃんカメレオン」

 レニン氏の報告によれば、このカメレオンはハンドルにつかまった状態で息を引き取ったようで、熱帯の強烈な日差しを浴びてすぐミイラ化した。死体に2つの小さな穴が開いていることから、アリが体内に入り、防腐処理が完了したのかもしれない。

 カメレオンなどの動物は高温の環境に適応しているが、それでも熱ストレスに負けることはあると、米オハイオ州トレド大学の爬虫両生類学者ジニー・レフスナイダー氏は説明する。(参考記事:「色でおしゃべり カメレオン」

 すべての動物が「ある一定の温度までは対応できますが、その限界を超えると、タンパク質の変性が始まります」

「細胞がバラバラになってしまうのです。いったんそうなると、元に戻すことはできません」

 暑い地域に暮らす動物、そして人にとっては悪いニュースだが、気候変動の影響で、熱波は増加の一途をたどっている。最新の研究によれば、全世界の30%にあたる人が年間20日以上、命にかかわる猛暑を経験しているという。(参考記事:「死の熱波、2100年には人類の4分の3が脅威に直面」

影響が大きい爬虫類

 気候変動がこのカメレオンの死にどれくらい関係しているかを知るすべはない。しかし、レフスナイダー氏によれば、インドカメレオンを含む爬虫類は、ほかの動物より温暖化の影響を大きく受ける可能性があるという。(参考記事:「【動画】水場で水を飲むコアラ、温暖化で増加か」

 爬虫類は外温動物であり、その体温はなんであれ周りにあるものによって決まるとレフスナイダー氏は説明する。例えば日陰などに移動したりすれば、体温調整は可能だが、もし避難場所がなかったら死に直結する。

「砂漠や熱帯で暮らす爬虫類の多くはすでに、限界に近い高温にさらされています。そのため、ほんの少しでも気温が上昇すれば、深刻な熱ストレスを受けることになるのです」

ミイラ化した仲間のそばで休む2匹のウミイグアナ。この個体は餓死した可能性が高い。ガラパゴスのフェルナンディナ島で撮影。(2017年6月号特集「適応か、絶滅か ガラパゴスの生物たちの運命」より)(Photograph by Thomas P. Peschak, National Geographic Creative)

 気候変動に関連した爬虫類の減少はすでに世界中で確認されている。例えば、ガラパゴスのリクガメとイグアナ、米国南西部のアメリカドクトカゲは激減のリスクにさらされているという研究結果が発表されている。(参考記事:「動物大図鑑 アメリカドクトカゲ」

気温上昇でメスが減る

 ヘビやカメ、トカゲが直面している問題は高温だけではない。

 爬虫類の多くの種は、卵が置かれている場所の温度によって子供の性別が決まる。つまり、地球温暖化は性別の大きな偏りにつながるかもしれないと、レフスナイダー氏は指摘している。(参考記事:「温暖化でウミガメの性比に異変?」

 例えば、ニュージーランドのノースブラザー島ではすでに、気温上昇によってムカシトカゲの性別が雄に偏ってしまった。最近の調査結果によれば、雌がどんどん減っているのだ。(参考記事:「動物の不思議な疑問:トカゲは声をもつ?」

 ただし、ニシキガメなどは暑い年には日陰に巣をつくるなど、ある程度の適応力をもっているとレフスナイダー氏はいう。しかし、こうした戦略にも限界はある。

「もし気温上昇が限界を超えたら、たとえ日陰でも助けにならないでしょう」

文=Jason Bittel/訳=米井香織

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