【動画】泳ぐミミズク、達者に見えるが実は必死

ミミズクは泳げるが自ら泳ぐ例はまれ、巣から落ちたのかも

2017.06.14
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【動画】アメリカワシミミズクが泳ぐ珍しい映像。(解説は英語です)

 米ユタ州とアリゾナ州とにまたがるパウエル湖の峡谷をハイキングしていたデリック・ズク氏らは2016年、想像しがたい光景を目にした――ミミズクが泳いでいたのだ。(参考記事:「愛しきフクロウ」

 その様子を撮影するため、ズク氏はカメラを手にこの鳥の後をつけた。切りたった峡谷に挟まれた湖水を歩く彼の前を、1羽のミミズクが体を上下に動かしながら泳いでいる。まるで平泳ぎをしているようだ。

 やがてミミズクは土が盛り上がったところへ上陸した。翼はぐっしょりと濡れ、いかにも重そうだ。

最後の手段

 ミミズクの泳ぐ光景が目撃された例は、今回が初めてではない。2014年には米ミシガン湖でも、写真家が今回と同じアメリカワシミミズクの泳ぐ姿を撮影した。インターネット上に投稿されたその動画は、200万回以上再生された。(参考記事:「癒されると話題の赤ちゃんフクロウ、真相は?」

 このように達者に水面を移動している姿を見ると、ミミズクには水泳という隠された能力がある気がしてくるかもしれない。しかし専門家の意見によれば、生き延びるための最後の手段として、泳いでいるのだという。

 今回のミミズクは、幼時の羽が残っていることから、巣立ちをして広い世間に出たばかりのアメリカワシミミズクの若鳥だとみられる。全米オーデュボン協会が主催する市民参加型の調査団体クリスマス・バード・カウントの所長ジェフ・ルバロン氏が、ナショナル ジオグラフィック協会に対してメールで答えてくれた。(参考記事:「米国の鳥類、深刻な生息状況」

「実のところ、巣から落ちたのかもしれません」とルバロン氏はいう。「米国西部では特に、アメリカワシミミズクは崖の岩棚に巣を作りますし、カラスなど他の鳥が作った巣を引き継ぐ例も数多くあります」。この若鳥は巣から落ちたのかもしれないし、飛ぶ練習を始めたばかりで、疲れてしまったのかもしれない、と彼は推測する。

「このミミズクは若いので、まだ親鳥たちに面倒をみてもらっているとも考えられます。撮影者が立ち去り、羽が乾けば、親鳥に見つけてもらえるかもしれません」と、ルバロン氏はミミズクの無事を願う。

 前述した2014年の動画で、ミミズクの成鳥がミシガン湖を泳ぐに至ったのは、2羽の縄張り意識が強いハヤブサから逃れるために水に飛び込んだからだ。(参考記事:「鳥類は恐竜絶滅後に爆発的進化した」

 今回のミミズクは水に飛び込む前に低空飛行をしており、ハイキングに訪れていたズク氏たちはそれを見て、てっきり自分たちを追い払おうとしている、と思ったらしい。

陸地に着くまで脱出できない

 ミミズクをはじめフクロウ科の鳥は、泳げるけれども自分から泳ぐ例はまれだと、米ミシガン州立大学の鳥類学者マシュー・ズビエルニク氏は全米オーデュボン協会とのインタビューで語っている。

「泳ぎがさほど一般的な行動ではないのは、いったん水の中に入ると、身を守る手段がなくなってしまうからです」と、ズビエルニク氏は説明する。フクロウは陸に着くまで水から脱出することができず、大きなかぎ爪を使うにしても、水中をすばやく動くこともできない。(参考記事:「【動画】テングザルは異例の泳ぎ上手だった」

 アメリカワシミミズクは、ズク氏が動画を撮影した米国南西部でよく見られる鳥だ。環境への適応力が非常に高いため、南極から南北米大陸に至るまでどこででも目にすることができる。

 アメリカワシミミズクは、その英名「great horned owl(大きい角のフクロウ)」に似合わず、角がない。この名の由来は、「羽角(うかく)」と呼ばれる長い羽毛が、頭頂部から突き出ているからだ。(参考記事:「フォトギャラリー:ゴージャスな羽を誇る美鳥14選」

文=Sarah Gibbens/訳=潮裕子

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