ツイッターきっかけで緊急手術したサイ、運尽きる

いったん回復したものの「がん」と判明、安楽死させられる

2017.06.07
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4月に手術を受けたプントゥン。順調に回復していると思われたが、数週間後に悪化した。(PHOTOGRAPH BY SAVING THE SURVIVORS)
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 ソーシャルメディアの力で野生動物を救うことができる――その象徴となったメスのスマトラサイが2017年6月4日、マレーシアで安楽死させられた。そのサイの名はプントゥン。20歳で、がんを患っていた。マレーシアに生息するスマトラサイの最後の3頭のうちの1頭だ。(参考記事:「絶滅危機のサイを緊急手術、ツイッターきっかけ」

「今日は、私たちがこれまでに迎えた非常に悲しい日の一つです。プントゥンの苦しみも、今朝で終わりました」と、プントゥンの治療に取り組んでいたボルネオサイ同盟がフェイスブックで伝えた。「扁平上皮がんを患っていたプントゥンは、夜明けの直後に安楽死を迎え、病との闘いを終えました」。扁平上皮がんは、皮膚にできる悪性腫瘍の一つだ。

 絶滅危惧種であるスマトラサイは、ハンターや密猟者に捕らえられることが多い。密猟者が多いのは、サイの角に薬用効果があるとの間違った考えが広まっているため、需要が大きいからだ。密漁の脅威に加え、生息地と繁殖する機会が減少しているために、世界に生存しているスマトラサイは、100頭に満たない。(参考記事:「フォトギャラリー:絶滅の危機に瀕するサイの写真14点」

 プントゥンの病は癒えたといったん期待されたものの、克服されることはなかった。2017年4月、歯に膿瘍がある、と当時は思われたプントゥンを救うために、南アフリカで活躍しているジャーナリストがツイッターで呼びかけたところ、野生動物の保護団体「セービング・ザ・サバイバース」が動いた。歯科専門の獣医が、ボルネオ島のマレーシア領サバ州のタビン野生動物保護区にいたプントゥンのもとまで飛行機で出向き、手術を実施。初めのうちは、病状が回復したように思われた。(参考記事:「史上最大、サイ100頭の空輸計画」

 だが後日、その腫瘍ががんの症状と判明、プントゥンをむしばんだ。ボルネオサイ同盟は5月末、プントゥンは左の鼻孔から呼吸できなくなり、鳴き声を発することもできず、痛みに苦しんでいる、と発表。マレーシア政府は、プントゥンを安楽死させる決定を認可する。

 プントゥンという名には、「引き抜く」という意味がある。ボルネオサイ同盟によると、プントゥンに左前足がないのは、幼い頃にハンターが作った罠にかかり、失ったためだという。同グループは6月4日、プントゥンがに死亡したことを伝えた。「プントゥンは、闘士としていつまでも記憶されるでしょう」(参考記事:「フォトギャラリー:世界最大の「サイ牧場」を撮影」

【参考記事】ナショナル ジオグラフィック 2016年10月号特集「血に染まるサイの角」

文=Christina Nunez/訳=潮裕子

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