【図解】NASA、太陽“かすめる”探査機を投入へ

炭素複合素材を盾に灼熱の世界へ最接近、7年間で24周する計画

2017.06.02
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(PHOTOGRAPH BY NASA/SDO)
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 月への有人飛行から星間空間への到達まで、NASAは多くの難しいミッションを成功させてきた。しかし、地球から最も近い恒星である太陽へ探査機を直接送り出したことはない。何がそれを妨げてきたのか? 太陽の灼熱だ。(参考記事:「ボイジャー1号の太陽系外到達を確認」

 太陽自体の表面温度は約6000℃だが、コロナと呼ばれる一番外側の大気層の温度は約200万℃にもなる。(参考記事:「高温のコロナ、太陽活動の相関関係」

 NASAの太陽探査ミッション「パーカー・ソーラー・プローブ」プロジェクトの科学者ニコラ・フォックス氏は、「太陽の表面と外層大気の温度逆転は大きな謎で、これまで誰も説明することができませんでした」と言う。(参考記事:「太陽表面の現象、実験室で再現に成功」

 2017年5月31日、NASAは、これまで「ソーラー・プローブ・プラス」と呼んでいた太陽探査機の名称を、1958年に太陽風を発見した天体物理学者ユージン・パーカー氏にちなんで「パーカー・ソーラー・プローブ」と改めることを発表した。NASAによると、同局の探査機に存命の人の名が公式につけられたのは初めてだという。

Photo: NASA/SDO. GRAPHIC: Daisy Chung, NGM STAFF SOURCE: Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory
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 このミッションを可能にしたのは、太陽の熱から探査機と観測機器を保護する炭素複合材料(C/Cコンポジット)製の耐熱シールドだ。探査機は早ければ2018年7月31日に打ち上げられ、太陽を24周する。そして、金星にも7回近づき、太陽から約600万kmの距離まで接近する。

 ここまで接近すれば、太陽をめぐるもう1つの大きな謎である太陽風の起源も解明できるだろう。太陽風は太陽から流れ出る高速の荷電粒子で、地球上の電子システムに壊滅的な影響を及ぼすことがある。(参考記事:「太陽嵐の衝撃」

「私たちは毎日太陽を見ていますが、よく知っているわけではありません」とフォックス氏は言う。「太陽は、私たちがめざす最後の主要な場所なのです」

文=Rachel Hartigan Shea/訳=三枝小夜子

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