南極を流れる不気味な「血の滝」、謎を解明

なぜ赤い? なぜ凍らない? レーダー調査で仕組みを分析

2017.05.02
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南極にある「血の滝」。なぜそんな色をしているのか、なぜ凍らずに水が流れ続けるのかは、謎とされてきた。(PHOTOGRAPH BY ALASDAIR TURNER/GETTY IMAGES)
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 南極にある「血の滝」は、水が赤い色をしていることからその名がついた。だが実際は、誰かが流した血のせいで赤くなっているわけではない。(参考記事:「ロシアの川が真っ赤に、工場の排水が原因か」

 かつては、この色をつくり出しているのは赤い藻類であると考えられていた。しかし学術誌「Journal of Glaciology」に発表された最新の論文によると、レーダーを用いて氷の層をスキャンすることによって、本当の原因が解明されたという。

 この発見は、ナショナル ジオグラフィックのエマージング・エクスプローラーでもあるエリン・ペティット氏を含む研究チームによってもたらされた。

 南極のマクマードドライバレーに位置する血の滝は、テイラー氷河から流れ落ちており、その水は氷河の表面に走る亀裂からもふつふつと湧き出している。この水がなぜ流れることができるのかは、これまで謎とされてきた。なぜなら、一帯の平均気温はマイナス17℃であり、また氷河の表面にはほとんど融解が見られないからだ。(参考記事:「「南極大陸の氷が増えている」は本当か」

 氷河の下をスキャンした画像が、この謎を解くヒントとなった。氷河の下には、川と湖の複雑なネットワークが存在する。そのネットワークは全体が鉄分の高い塩水で満たされており、これが滝を赤く染める原因となっている。

 論文は、塩水が凍結せずに流れている理由は、塩水の性質から説明できるとしている。「氷河の内部やその下の環境では、水が氷になるときに発生する熱(潜熱)と、高い塩分含有量とが組み合わさることによって、塩水が液状に保たれる」(参考記事:「アマゾンで「沸騰する川」を発見」

カギは「鉄分の高い塩水」

 氷河の下にある湖の水は、異常なほど塩分が高い。塩水は純水よりも凝固点が低く、また凍結するときに熱を放出するために周囲の氷を解かし、それによって水が流れることができる。

 つまり、テイラー氷河は流水を維持する仕組みを有しており、また流水を内包する世界で最も冷たい氷河であるということになる。ただし、流水に含まれる鉄分が極めて高いために、滝が血のように赤く染まってしまうというわけだ。(参考記事:「南極のタコの血は青くて濃い、予想を裏切る新発見」

 加えて同研究では、ここを流れる「鉄分の高い塩水」の量も計測しており、その量は滝に近づくにつれて増加することがわかった。

 また、水温と塩水の濃度の間には関連があることも判明している。氷河に走る大小さまざまな亀裂を通じて、塩水は氷河に流れ込む。そして塩水(下図では、水に含まれる鉄分を表すために赤で示されている)が凍結し始めると、そこで発生する凝固潜熱によって周囲の氷が温められると同時に、亀裂中央の塩水の濃度が上昇する。

塩水が氷河内部に流れ込んで周囲の氷を解かし、赤茶色の滝を作り出す仕組みを示した模式図。(DIAGRAM COURTESY CAMBRIDGE UNIVERSITY PRESS/CREATIVE COMMONS)
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文=Delaney Chambers/訳=北村京子

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