【動画】チーターvsリカオン集団、獲物の行方は

世界最速のハンターを取り囲む野生のイヌ科動物の群れ、結果はたいてい決まっている

2017.05.02
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【動画】チーターvsリカオン 食物争奪戦の勝者はどっち?

 チーターは、陸上界の最速動物として知られている。スタートからわずか3秒で時速100キロに加速できるほどだ。しかし、獲物をよく横取りされることはあまり知られていないだろう。(参考記事:「世界最速のチーター死す、走る姿をもう一度動画で」

「チーターは意気地なしなんです」と語るのは、ナショナル ジオグラフィック協会の大型ネコ科動物保護プロジェクト「ビッグ・キャット・イニシアチブ」の責任者、ルーク・ダラー氏だ。チーターの体はしなやかで細く、スピードを出すのに適しているが、戦いには向いていない、と同氏は説明する。「それほどがっしりした体でもありませんから、自分とほぼ同じ大きさの捕食者と向き合うと見劣りしてしまいます」

 そのため獲物を捕らえても、イヌ科の動物リカオンの群れに目をつけられたら、それを守りきれる確率はほとんどゼロに等しい。

 アフリカの動物の中では、リカオンを眺めるのが大好きとダラー氏。「なにしろ動きがダイナミック。驚異的なハンターですよ」と言う。「1匹だとそれほど強くありませんが、“パック”と呼ばれる群れを形成すれば、アフリカでリカオンほど有能な捕食者はいないと思います」

 ダラー氏によれば、リカオンは「獲物を捕らえると、息が絶える前から食べ始め、2分も経たないうちにきれいに平らげてしまう」という。

 リカオンは狩りをするとき、6~20匹、あるいはそれ以上が集まって「パック」を形成するが、その群れは通常1対の繁殖ペアが率いている。アンテロープを襲うことが多いが、ヌーのような大型動物を襲うこともある。狩りの成功率は80%と、驚くほど高い。(参考記事:「【動画】母親ゾウ、リカオン集団からわが子を守る」

 チーターもアンテロープを襲うことがあるが、よく食べるのは鳥やウサギといった小さな動物で、リカオンと同じく死肉を食べるのはまれ。ほかの大型ネコ科動物に比べると、捕らえた獲物のそばに長くはとどまらないが、それは他の捕食者がチーターの獲物をねらっているからだ。

【動画】リカオンvsハイエナ(解説は英語です)

どちらも絶滅が危ぶまれている

 リカオンとチーターはどちらも、生息地の減少により絶滅の危機に瀕している。両者とも広く移動して狩りを行うために、安全で開けた広大な土地がなければならない。リカオンの場合はさらに、家畜を襲って人間に殺されるほか、病気にもかかりやすい。

 現在、リカオンの野生のパック数はわずか660前後、成獣は約6600匹と推定される。チーターの数は、ダラー氏の話によると、かつて約1万頭いると考えられていたが、最近の調査ではリカオンの数に近づいて、7100頭に減っているそうだ。リカオンは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストの絶滅危惧種(endangered)に、チーターは危急種(vulnerable)に指定されている。(参考記事:「追い詰められるチーター」

 リカオンは数が減少しているうえ生息範囲がとても広いため、出会える確率は極めて低い。そんなリカオンの群れが、チーターと一緒にいる場面に出くわす確率はさらに低くなってしまう。「この動画を撮った人は、自分の運の良さに感謝すべきですね」とダラー氏は締めくくった。(参考記事:「【動画】まるで兄弟、子チーターと犬の動画が話題」

文=Austa Somvichian-Clausen/訳=潮裕子

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