ハダカデバネズミ、酸素なしで18分生きられる

地中生活ならではの珍しい機能、低酸素時に酸素使わない代謝にスイッチ

2017.04.25
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【動画】世界有数の珍獣、ハダカデバネズミ(解説は英語です)

 フルクトースは通常、毒性が高く、人間は腎臓と肝臓で代謝している。一方ハダカデバネズミは、フルクトースを処理できる酵素を全身に持っており、心臓や脳も例外ではない。(参考記事:「甘い物を食べ過ぎると頭が鈍くなる」

「代謝は、比較的可塑性があるものです」と、論文著者のゲーリー・ルウィン氏は電話でコメントした。同氏はドイツ、ベルリンにあるマックス・デルブリュック分子医学研究センターの神経生物学者だ。「したがって、フルクトースの輸送体を遺伝的に導入したり、薬剤を使って細胞に教え込んだりして、人間の細胞でフルクトースを代謝できるようする方法を見つけ出せるかもしれません」

驚異の機能、人間に応用できるか

 酸素のない状態でもフルクトースを使って細胞を引き続き機能させられれば、脳が酸素不足に陥ってしまう心臓病や脳卒中の患者を救うのに役立つかもしれない。(参考記事:「生と死 その境界を科学する」

 組織の損傷を防ぐため、「心臓発作や脳卒中の危険がある患者において、心臓や脳でこれらの酵素を働かせたり、少量のフルクトースを与えたりする方法を突き止められるかもしれません」と、論文の共著者で同センターの分子生物学者、ジェーン・レズニック氏は説明する。「必要な経路は全て備わっているので、不可能ではありません。抑制されているだけです」

 とはいえ、まだ先は長い。

 この仕組みを動かしているフルクトースがどこから来ているのか、研究チームはまだ解明できていない。ハダカデバネズミは無酸素状態のときにフルクトースを作り出すのか、それともどこかに蓄えてあるのか。また、このメカニズムを活用する人間の能力もまだはっきりしない部分が多い。

 だが、レズニック氏は前向きだ。「今はまだ謎だらけで、全てが矛盾しているように見えます。ですが、驚異的かつ非常にエレガントなこの解決策の詳細が、だんだんと見えてくるでしょう」(参考記事:「「最強生物」クマムシ、衝撃のDNA構成が判明」

文=Rachel Brown/訳=高野夏美

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