寄生虫もつ仲間を糞のにおいで選別、マンドリル

危険な個体を避け感染を予防、特にお尻の毛づくろいが減少

2017.04.21
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紙は使っても、便器には触らない

 フィールドワークの中で、研究チームは「寄生虫がいる個体は毛づくろいをしてもらう回数が減り、特にお尻が毛づくろいされなくなる」ことに気が付いた。寄生虫が糞を介して感染するため、「賢明なやり方です」とポワロット氏は言う。公衆トイレでトイレットペーパーは使っても、便器には触らないようなものかもしれない。(参考記事:「不思議でふしぎな寄生生物“勝手にベスト5”」

「マンドリルは寄生虫をもらわないよう、感染した個体の毛づくろいを避ける」という仮説を検証するため、研究チームは感染した十数頭を捕獲。抗寄生虫薬を経口と静脈注射で投与し、治療を行った。

 そのうち12頭は、治療後に毛づくろいを受ける頻度が増え、中でも3頭は10倍以上になった。また、寄生虫の有無が影響するのは仲間から受ける毛づくろいの頻度だけであり、他の個体に毛づくろいを施す頻度は変わらなかったため、ポワロット氏らの仮説がさらに補強された。

「検証の結果は、予想とぴったり一致していました。非常にうれしいことです」とポワロット氏。

 次のステップは、仲間が寄生虫を持っているとマンドリルが判別する方法を突き止めることだった。

 チームは、ガボンの森の中につくった放飼場に移したマンドリルに、糞を塗りつけた竹の棒を渡した。1本は寄生虫を大量に含んだマンドリルの糞が付いており、もう1本に付いた糞はほとんど寄生虫がいない。行動は、どちらの糞に寄生虫が多いのか知らされていない研究者が観察した。(参考記事:「なぜ動物はうんちを食べるのか」

 予想通り、マンドリルは竹の棒のにおいをかいで調べ、寄生虫を大量に含む糞を避けた(ポワロット氏は、他の糞に比べて悪臭の強い糞があったとしながらも、寄生虫の多い糞とそうでない糞の区別はつかなかった)。

 ポワロット氏の次の課題は、寄生虫がマンドリルの健康に与えうる影響を調べることだ。(参考記事:「うんちを化粧品や保育室に、動物たちの糞活用法」

寄生虫のリスクをコントロール?

 米カリフォルニア大学デービス校名誉教授で獣医のベンジャミン・ハート氏は、マンドリルは寄生虫をコントロール可能なレベルに保っているのではないかと話す。

 寄生虫が多すぎると宿主の動物は命の危険があるが、軽度ならばそれほど脅威にはならないようだ、とハート氏は続けた。

 ハート氏は、この研究が刺激となって他の種でも同様の調査が行われることを期待している。

「この研究は綿密な分析を提供しており、寄生虫の回避に際して嗅覚が果たす役割を解明したいと考えている他の研究者たちにとって模範となりえます」とハート氏。「とても優れた論文だと思いました」

文=Jenny Morber/訳=高野夏美

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