1日5億本、「ストローいりません」が米国で拡大中

鼻に刺さったウミガメを助ける動画で加速、海洋ごみ削減に向けた不使用運動

2017.04.20
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ストローから始めよう

 ストローの増加に伴って、反対運動も拡大していった。ロンドンのソーホー地区で活動する「ストロー・ウォーズ」から、世界的な海の環境保護団体「サーフライダー・ファウンデーション」の「ストローズ・サック」、そして8歳と7歳の兄妹が始めた「ワン・レス・ストロー」運動までさまざまだ。

 感染症への不安が世界中にストローを広げたのであれば、10センチのストロー片をウミガメの鼻から取り出す様子を撮影した8分間の動画がその流れを変えるきっかけとなるかもしれない。動画は見るのも痛々しいが、YouTubeで1100万回以上再生された。(参考記事:「DVDケースがクジラを殺した」

海岸線30センチ当たり5枚のレジ袋に相当するプラスチックごみが、毎年のように海へ流出している。カリブ海にあるこの孤島でも、捨てられた容器、包装用ビニール、ストローなどが打ち上げられ、砂浜を覆いつくしている。(PHOTOGRAPH BY ETHAN DANIELS, ALAMY)
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 また、この問題を取り上げたドキュメンタリー映画「ストローズ」が、米国各地の映画祭で上映されている。製作者のリンダ・ブッカー氏は米ノースカロライナ州在住の映画監督で、例のウミガメの動画が、ストローを映画の題材にした理由のひとつだった。映画には、ウミガメのストローを取り出した科学者へのインタビューが含まれている。

「ウミガメの動画は、たくさんのストロー不要運動を加速させる触媒になったと私は思っています」と、ブッカー氏は語る。

 俳優のエイドリアン・グレニアー氏も、「ロンリー・ホエール・ファウンデーション」という非営利団体を共同で立ち上げた。著名人が活動に関わることで、問題への関心が高まることが期待される。同団体は、2017年春にサウスカロライナ州チャールストンで開かれた海洋プラスチックに関する会議を皮切りに活動を開始した。グレニアー氏は、レストランでウエーターが水の入ったグラスと一緒にストローをテーブルに置くごく当たり前の光景を例に挙げて、活動の趣旨を説明した。

「ここが出発地点です。人々はしばしば、問題の大きさに圧倒され、あきらめてしまうことがあります。でも、普通の人が誰でも達成できるものが必要なんです。プラスチックのストローを排除できるのなら、まずそこから始めようじゃないですか。そして、それが成功したら次の課題に移ればいいんです」

文=Laura Parker/訳=ルーバー荒井ハンナ

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