史上初のブラックホール撮影、成否は数カ月後

世界8カ所の天文台をつないだ地球サイズの望遠鏡による観測が終了

2017.04.16
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 天文学者たちが最終的に見たがっているのは、黒い円(ブラックホールの影)のまわりに広がる光だ。光を発しているのは、ブラックホールのすぐ外側を事象の地平線をなぞるように公転し、数千億度の高温になっているガスである。ファルケ氏によると、シミュレーションでは、ブラックホールの片側に見える光はもう片方の側に見える光よりかなり明るく、「コンテストに出したら絶対に優勝できなさそうな不恰好なピーナッツ」のような形が予想されているという。

 ドゥーレマン氏らは、今回の観測で画像を生成できなかったとしても、来年、さらに大きなネットワークで観測に再挑戦することを決めている。ファルケ氏は、「今後10~50年で、アフリカや宇宙にも観測網を広げることで、より鮮明な画像も得られるようになるでしょう」と語っている。

底なしの食欲

ブラックホールというと虚空のようなイメージがあるが、実際には宇宙で最も高密度の天体であり、それが途方もない重力を与えている。巨星が崩壊することによってできるブラックホールは、ニューヨーク市の大きさに太陽の10倍の質量が詰まっている。銀河の中心にある超大質量ブラックホールは、太陽の数十億倍の質量をもち、その起源は謎に包まれている。

JASON TREAT AND ALEXANDER STEGMAIER, NGM STAFF. ART BY MARK A. GARLICK
[画像のクリックで拡大表示]

いて座A*
1974年、いて座の方向に2万6000光年離れたところに、非常にコンパクトな電波源が発見された。いて座A*と名づけられたこの電波源は、銀河系の中心にある超大質量ブラックホールで、太陽の400万倍以上の質量をもつことがわかっている。

1.特異点:アインシュタインの方程式によると、恒星が自分の重力で潰れてできたブラックホールの中心は、密度が無限大で次元のない「特異点」になっているという。特異点は数学的な意味での穴であり、実在はしていないようである。

2.事象の地平線:いて座A*のまわりの事象の地平線の大きさは約1300万キロメートルで、この境界線を越えると、光さえブラックホールの重力から逃れられない。

3.静止限界:ブラックホールの自転は、空間をねじ曲げ、近くを軌道運動する物体を加速または減速する。静止限界は、ブラックホールの自転に対して光速で運動する物体が静止しているように見える軌道だ。

4.降着円盤:いて座A*のまわりでは、超高温のガスと塵からなる円盤が、光速に近い速度で回転しながら熱や電波雑音、X線フレアを放出している。ほかの銀河の降着円盤に比べると、その活動は穏やかだ。

5.X線ジェット:現在のいて座A*の活動は穏やかだが、ほんの2万年前には太陽の約100倍の質量の恒星やガスの雲をのみ込んでいた可能性がある。このときの食事により、ブラックホールの両極から、銀河面に対して15度傾いているX線ジェットが発生した。

次のページ:ブラックホールの謎に迫るフォトギャラリー6点

  • このエントリーをはてなブックマークに追加