史上初のブラックホール撮影、成否は数カ月後

世界8カ所の天文台をつないだ地球サイズの望遠鏡による観測が終了

2017.04.16
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「ブラックホールは空間と時間の終点なので、私たちの知識もそこで終わるのかもしれません」とファルケ氏は言う。天文学者は、宇宙に存在するすべての大型銀河の中心にブラックホールが隠れていると考えているが、その有無については状況証拠しかつかんでいない。アインシュタイン自身も、その存在を確信していたわけではなかった。

 ファルケ氏は、ブラックホールの最初の画像は、神話的な存在だったブラックホールを、研究の対象となる具体的な存在に変えるはずだと信じている。(参考記事:「太陽の120億倍、説明不能なブラックホール発見」

天気との戦い

 今回のプロジェクトでは、世界8カ所にある天文台が、地球と同じ大きさの仮想的な電波望遠鏡を利用して観測を行った。「事象の地平線望遠鏡(EHT)」と呼ばれるプロジェクトだ。ハワイで最も高い山から南極の極寒の地まで、広範囲にある天文台をつないだ観測ネットワークを構築するために、国際チームは何年も前から計画を立て、協力してきた。

世界各地の強力な電波望遠鏡を同期させることで、単独の望遠鏡には不可能な有効解像度と感度を実現することができる。施設間の距離の大きさが、この「事象の地平線望遠鏡」の性能を高めるのに役立っている。
[画像のクリックで拡大表示]

 そして4月4日からの10日間、事象の地平線望遠鏡が空に向かって巨大な目を開いた。

 観測したのは、2つの超大質量ブラックホールだ。1つは、銀河系の中心にあり、太陽400万個分の質量をもつ「いて座A*」ブラックホール。もう1つは、銀河系に近い銀河M87の中心にあり、いて座A*の約1500倍の質量をもつブラックホールだ。(参考記事:「ブラックホールは食べ残しを投げ捨てるとの新説」

 事象の地平線望遠鏡は、以前にもこの2つの巨大ブラックホールを観測しているが、南極点望遠鏡と、チリのアルマ望遠鏡が参加したのは、今回が初めてとなる。アルマ望遠鏡は、それ自身が66台のパラボラアンテナからなる。(参考記事:「宇宙誕生 見つめる目 アルマ望遠鏡」

 アルマ望遠鏡が加わったことで、事象の地平線望遠鏡の解像度は10倍になり、月面に置いたゴルフボールを見つけられるレベルになった。2つのブラックホールの事象の地平線は驚くほど小さいと予想されているが、これだけの視力があれば見えるはずだ。(参考記事:「アルマ望遠鏡でブラックホールの謎に挑む」

チリの砂漠に建設されたアルマ望遠鏡を構成する66台のパラボラアンテナの一部。(PHOTOGRAPH BY NRAO, AUI, NSF)
[画像のクリックで拡大表示]
  • このエントリーをはてなブックマークに追加