海底下1万mに生命か、深海の火山から有機物

マリアナ海溝に近い海底火山、地球最深の生命圏を示唆

2017.04.12
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海底の泥火山から採取された蛇紋岩のサンプルには、地下深くに生息する微生物の排泄物らしき有機物が含まれていた。(PHOTOGRAPH COURTESY OLIVER PLÜMPER, UTRECHT UNIVERSITY)
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 およそ40億年前の地球は、生命が存在するにはきわめて過酷な場所だった。隕石がひっきりなしに衝突し、地表はどろどろに溶けた岩に覆われ、手に入る栄養分も、すむことのできる場所もわずかだった。このような環境を、微生物はどのように生き延びたのだろうか。

 科学誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に4月10日付けで発表された論文によると、初期生命の中には、海底からさらに1万メートル下の地中に潜り込んで命をつないでいたものもあったようだ。

 研究チームは、地球上で最も深いマリアナ海溝の海底下に、今も微生物が生息していることを示す痕跡を探し当てた。(参考記事:「マリアナに新たな熱水噴出孔と深海生態系を発見」

深海底のさらに下に生命圏?

 マリアナ海溝は、太平洋プレートがフィリピン海プレートの下に沈み込んでいる地帯で、周囲には熱水噴出孔や泥火山が数多く点在し、地下深くから様々な物質を吐き出している。(参考記事:「世界最深、マリアナ海溝の形成プロセス」

 マリアナ海溝の近くにあるサウス・チャモロ海山は、すぐ下の沈み込み帯の活動によって形成された海底泥火山だ。ここから研究チームは、鉱物が豊富に含まれた泥を採取した。それを分析してみると、微生物こそ出てこなかったものの、何かが生息していることを示す興味深い有機物の痕跡を発見した。これが、地球上で最も過酷な環境でも生存できる生命がいることの証明になるかもしれない。

「この地球の広大で奥深い生命圏についての新たな手掛かりです」と、オランダのユトレヒト大学の研究者で、今回の研究を率いたオリバー・プルンパー氏は言う。「それは、巨大かもしれないし、とても小さいかもしれない。とにかく、まだ私たちの理解していない何かがあるのは確実です」

深海の噴出孔で標本採集の準備をする遠隔操作無人探査機。(PHOTOGRAPH BY SCHMIDT OCEAN INSTITUTE)
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 生命がここまで深い場所で生存できるのは、沈み込み帯の温度が比較的低いためと考えられる。沈み込んだ地殻は、マントルの下の方までいかなければマグマにぶつかることはない。したがって、海底から少なくとも1万メートル下まで潜らなければ、生命が存在できる温度の限界とされる122℃前後には達しないと、プルンパー氏は推測する。

 ということは、これらの微生物は地球上で知られている限り最も深い地中に生息する生物と言える。これまでも海底の堆積物の中から地下数千メートルに生息する微生物が発見されたことがあるが、今回はそれよりもさらに深い。(参考記事:「海底下に世界最深の生命圏を発見」

 米ミシガン州立大学の地球微生物学者マシュー・シュレンク氏は、「この論文の主な成果は、地下を奥深く潜った場所でも生命が生息している可能性を示したことだと思います」と話す。シュレンク氏は、蛇紋岩化作用を栄養源にする微生物の生態学を研究している。

「生命圏の深さの限界を見つけようというのであれば、この研究でその限界が大きく引き伸ばされることになりそうです」

次ページ:鉱物の反応が微生物のエサに

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