【動画】イカがイカを一瞬で捕獲、共食い?

2017.04.11
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【動画】仲間に不意打ちを食わせるイカ。オーストラリアの研究者が深海生物を調査するために機材を設置したところ、1匹のイカが他のイカを攻撃する映像を収めるのに成功した。(解説は英語です)

 オーストラリア、タスマニア島の南西沖で調査中の研究者が、イカの攻撃的行動を示す貴重な映像の撮影に成功した。

 動画を見ると、船の明かりに引き寄せられたのか、1匹のイカがカメラの視界に入ってくる。その直後、もう1匹のイカが勢いよく画面に飛び込んできて、最初のイカをつかみ取って消えていく。攻撃的な行動とみられる。(参考記事:「【動画】タコとカニの水中バトルが衝撃の結末に」

 南極海に生息するイカはおよそ70種に及ぶため、このイカがどの種に属するのか厳密に判別するのは難しい。短い映像を見る限りでは、おそらくアカイカ、もしくはどこにでもいるオーストラリアスルメイカのどちらかだろう、とハンナ・ローゼン氏は語る。彼女は米カリフォルニア州パシフィック・グローブにあるスタンフォード大学ホプキンス・マリーン・ステーションのギリー研究室で博士論文を執筆中だ。

 撮影に使われた装置を設置したのは、オーストラリアの国立科学研究機関であるオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究者たち。深さ1000メートルに生息する深海生物の行動を調査するために、「視聴覚」双方の情報を取得できる器具を取りつけた。だが、2匹のイカが出会った地点は、水深わずか135メートルのところだった。(参考記事:「共食いも胎盤も! サメは「繁殖様式のデパート」」

「装置を調整していると、好奇心旺盛なイカが近づいてきて、攻撃的行動をとることが時折あります」と、研究を主導しているルーディ・クロサ―氏。ナショナル ジオグラフィックの取材に対してメールで答えてくれた。この記事の公開時点では、このイカの正確な種が何か、同機構は確認していない。

 イカの多くは、仲間うちで攻撃的な行動に出て、共食いにまで発展することがよく知られている。スタンフォード大学のギリー研究室で博士号を取得したダナ・スターフ氏は、これまでイカを専門に研究しており、学位論文のテーマにもアメリカオオアカイカを選んだ。この種は南極海では珍しいとはいえ、動画に出てきた2匹と似た特徴を持っている。(参考記事:「【動画】体を点滅させて言葉を交わす巨大イカ」

「アメリカオオアカイカは、弱った仲間がいると共食いをします。他の種が同じ行動をとる可能性は十分にあります」と、彼女は言う。2016年10月に発表されたある論文では、共食いをする例が極めて高いイカの種がいくつかある、と述べられている。たとえばテカギイカの場合、餌全体の42パーセントは共食いによるものだ。

「共食いだった可能性はありますし、そうだったとしても驚きませんが、それでも食われたのが別の種だった可能性もあります」と話すのは、スミソニアン協会と提携している米国海洋漁業局(NMFS)のNational Systematics Laboratoryの研究員マイケル・ヴェッキオーネ氏だ。「その場合、今回の例は単なる捕食行動で、共食いではありません」(参考記事:「【動画】衝撃、チンパンジーが元ボスを殺し共食い」

文=Sarah Gibbens/訳=潮裕子

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