新種の古代ナマズを発見、エジプト・クジラの谷

現代の砂漠から太古の海洋生物化石が続々、体長2mでも小物だった?

2017.03.15
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エジプトでは困難、女性研究者の快挙

 今回の論文を執筆したエル=サイエド氏は、エジプトにあるマンスーラ大学の女性研究者。ナマズ研究をエジプト人女性が率いるのは初めてのことで、またチームメンバーが全員エジプト人というのも過去に例がない。(参考記事:「科学の分野になぜ女性が必要なのか」

「女性が1週間、いえ、数日でも家を留守にしたり、砂漠で研究に没頭するなど、この国では考えられないことです。エジプト社会にはなかなか受け入れてもらえないライフスタイルです。けれども、私の家族は伝統とか習慣にとらわれることなく応援してくれて、好きなことをやりなさいと励ましてくれました」

古代ナマズの第2背棘の全体写真。(PHOTOGRAPH BY SANAA EL-SAYED)
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 彼女のアドバイザーであるヘシャム・サラム氏は、時間をかけてエル=サイエド氏の家族の信頼を得て、2011年にはワディ・アル=ヒタンへ化石の発掘調査に出かける許可を取り付けた。「私にとっては初めての現地調査だったので、とてもうれしかったです。そこで仲間と一緒にナマズの化石を発掘し、後にQarmoutus hitanensisと名付けることができたんです」(参考記事:「洞窟の壁を登るナマズを発見、アマゾンの鍾乳洞で」

 時には、盗賊に狙われることもあった。「砂漠で作業していると、古代の宝や黄金を探していると思われてしまうんです。有名な遺跡のすぐ近くで発掘することが多いですから」

 特に悔しい思いをしたのは、希少な恐竜の化石を発掘中、その下に財宝が眠っていると思いこんだ盗賊団に骨を破壊されてしまったことだ。「発見したものが台無しにされ、本当にショックでした」と、エル=サイエド氏は語った。

 今では、化石を見つけたら常に見張りを置き、骨をむき出しにすることで、部外者が財宝と勘違いしないよう気を使っている。

【参考動画】巨大ナマズを釣り上げる(今回の古代ナマズではありません)
生物学者のゼブ・ホーガン氏が釣り上げた巨大なヨーロッパオオナマズは、アヒルやカメ、時にはハトまでも食べるという。(解説は英語です)

 これまでに20回の発掘調査に加わったエル=サイエド氏は、現在は現場での調査を率いて、後進のエジプト人古生物学者の育成にも携わっている。「私と同じ道を選択した全ての女性に伝えたいです。強さを保って、自分の能力を信じるようにと」(参考記事:「古代エジプト王の巨大像を発掘、カイロの住宅地で」

文=Nadia Drake/訳=ルーバー荒井ハンナ

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