【動画】赤ちゃんカンガルー救出、死んだ母親から

おなかの袋に守られて生き延びた小さな命、救出の瞬間

2017.03.10
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【動画】オーストラリア・ブリスベーン近郊の道端で、死んだカンガルーを発見。おなかの袋にいた赤ちゃんカンガルーは生きていて、無事に保護された。(解説は英語です)

 2017年2月下旬、オーストラリア・ブリスベーン近郊の路傍に、けがをしたカンガルーが倒れていた。発見者の夫婦が近づいてみると、メスのカンガルーはすでに死んでいたが、おなかの袋の中から小さな赤ちゃんカンガルーが見つかり、保護された。

 撮影された動画には、母親のおなかの袋から赤ちゃんカンガルーをそっと助け出す様子が写っている。動画を撮影したマシュー・ドリュー氏と妻のモニク氏は、定期的に一帯を見回り、病気にかかった野生動物やけがをした野生動物がいないか、目を配っている。道端に倒れたカンガルーを見つけると、2人は即座に車を止めた。

「倒れたカンガルーはまだ生きているのか、おなかの袋に赤ちゃんがいないかを確認したかったんです。袋の中には、小さなメスの赤ちゃんがいました」。袋から赤ちゃんを助け出したドリュー氏は、こう話す。

 夫妻は赤ちゃんカンガルーを地元の獣医師のところへ連れて行った。

 ドリュー夫妻はこの事件の半年前にも、同じようにして赤ちゃんカンガルーを助けたことがあり、その子も今のところ元気に育っているという。どちらの例でも、母親は車にはねられた可能性が高い。オーストラリアでは、動物がらみの交通事故の9割近くがカンガルーによるものだ。車にひかれて路傍に横たわるカンガルーを、ドリュー氏はよく見かけるという。(参考記事:「カンガルーは左利き、有袋類の利き手研究」

おなかの袋は安全な隠れ家

 カンガルーの子どもは母親のそばで育つ。生まれたばかりのカンガルーは豆つぶほどの大きさだが、母親のおなかの袋まで自力で移動する。袋の中で過ごす期間は長くて1年ほど。赤ちゃんカンガルーにとって、母親のおなかの袋はどこよりも安全な隠れ家だ。袋を使わなくなってからも、1カ月から半年ほどは母親のもとで母乳を飲んで育つ。(参考記事:「オスが出産、タツノオトシゴの健気な愛の営み」

 母親がけがをしたり死んだりして子育てができなくなった場合も、袋と同じような環境をうまく再現できれば、赤ちゃんは生き延びることができる。それには赤ちゃんを温かく保ち、カンガルーの母乳と同じ栄養を含む特別な調合乳を与えるなど、きめ細かい世話が必要だ。(参考記事:「パンダを野生の森へ」

 カンガルーは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで低危険種(Least Concern)に分類され、食肉や毛皮のために数百万頭が合法的に捕獲されている。オーストラリアのカンガルーの生息数は、推定3000万頭から5000万頭。カンガルーの交通事故が多いのも、生息数が多いためだ。

 カンガルーの頭数をどう管理すべきかは議論を呼んでいる。オーストラリアでは、草地を保護し、家畜との競合を緩和する目的で、カンガルーの駆除が定期的に許可されている。(参考記事:「【動画】カンガルーを殴る男、動画が話題に」

文=Sarah Gibbens/訳=鈴木和博

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