世界最高齢アホウドリ、66歳でヒナかえす

太平洋の孤島で世界最高齢の野鳥が今年も子育て奮闘中

2017.02.22
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驚異的なアホウドリ「ウィズダム」。これまでに産んだヒナは30~40羽、移動した距離は480万キロに達するとも考えられる。(解説は英語)

 そのアホウドリの名前は「ウィズダム」。北太平洋に位置する米領ミッドウェー環礁で、過去60年間にわたって、ほぼ毎年のように卵を産んできた。そして、米国魚類野生生物局は2月16日、ウィズダムが新たなヒナをかえしたと発表した。(参考記事:「世界最高齢の野生アホウドリが産卵」

 ウィズダムの繁殖力の高さは二つの点で特筆すべきだと、米国ミッドウェー環礁国立野生生物保護区の保護責任者代理であるデイシャ・ノーウッド氏は言う。(参考記事:2007年12月号「優雅なる空の王者アホウドリ」

 一つは、確認されている限り世界最高齢の野鳥であるウィズダムは、高齢の動物の繁殖に関して、貴重な知見を研究者たちに提供してくれていること。もう一つは、コアホウドリが産む卵の数はせいぜい年に1個なので、ウィズダムが1羽でもヒナを産んでくれたら、種の保存に寄与するということ。野生動物の保全状況を評価している国際自然保護連合(IUCN)は、コアホウドリを絶滅危惧の手前である近危急種(Near Threatened)に指定している。(参考記事:「最も高齢な動物たち、6つの例」

ヒナの世話をするコアホウドリのウィズダム。パパハナウモクアケア海洋国立モニュメントで撮影された。
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「ウィズダムがヒナをかえすたびに非常にわくわくします」とノーウッド氏は言う。「この年齢で子どもを生んでいるのは驚きですし、繁殖がとても上手なようです」

ウィズダムはスーパーママ

 1956年12月10日、現在はパパハナウモクアケア海洋国立モニュメントとなっている場所で、生物学者のチャンドラー・ロビンス氏は1羽のコアホウドリに足環を付けた。特にこれといった特徴もない、ごくごく普通の雌鳥だった。それから46年がたった2002年、偶然にもロビンス氏はこの鳥を捕まえることとなったのだ。(参考記事:「米がハワイの海洋保護区を拡大、日本国土の約4倍に」

 高齢だが健康状態は良好のようだった。そこでロビンス氏はこの雌鳥に、「知恵」を意味する「ウィズダム」という名を付けた。ちなみに、ウィズダムに負けず劣らず、ロビンス氏も98歳になる今なお現役で、米国メリーランド州のパタクセント野生生物研究所で鳥類の研究を続けている。

 成鳥になったアホウドリの正確な年齢を判別するのは難しい。ウィズダムはロビンス氏が1956年に見たときには、すでに成鳥だったので、少なく見積もっても現在66歳ということになる。

 すべてのアホウドリの例にもれず、ウィズダムとパートナーの「アケアカマイ」も、毎年同じ場所に戻って絆を確かめ合う。そこは、ウィズダム自身が何十年も前に生まれたのと同じ場所かもしれない。(参考記事:「動物大図鑑:アホウドリ」

 アホウドリのつがいは生涯連れ添うが、一方が死ぬと新しいパートナーを見つける。ウィズダムは何羽もの雄鳥に先立たれている。2006年以来、ウィズダムとアケアカマイは数羽のヒナを育てており、ウィズダムが生涯に育てたヒナの数はおよそ30羽以上と考えられる。

ウィズダムとパートナーが卵を抱き始めて約2カ月、ヒナがかえった。まだ名前はついていない。
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 ウィズダムは高齢になった今でも子どもを産んでいるだけでなく、産む回数がほかのほとんどの雌よりも多い。ウィズダムは2015年にもヒナをかえしているが、多くのアホウドリは1年おきにしか産卵しない。

「2年連続で卵を産んだ例がないわけではありませんが、珍しいことです」とノーウッド氏は言う。

子育ては休みなし

 生まれたばかりのウィズダムの子どもにはすでに足環が付けられたが、まだ名前はついていない。ウィズダムとアケアカマイは交代でヒナを守り、海に飛んでいっては、自分と子どものために食べ物を探す。

 子どもが独り立ちできるようになるのは6月か7月。それまで、親鳥たちは巣に食べ物を運び続ける。

 ウィズダムは来年もまた子どもを産むだろうか? それは時のみぞ知ることだ。

文=Carrie Arnold/訳=山内百合子

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