【動画】アザラシがカヤックに乗ってきた!

かわいいアザラシ、でもこんなに人に近づいて大丈夫?

2017.02.21
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【動画】愛くるしいアザラシがカヤックに乗ってきた
英国スコットランドのフォース湾で、好奇心旺盛なハイイロアザラシがカヤックの上に乗ってきた。いくつかの川が北海に注ぐフォース湾では、ハイイロアザラシやゼニガタアザラシがよく見られる。(会話は英語です)

 最初に言っておく。アザラシは本当にかわいい。

 この点については科学者たちも同じ意見だ。米国シラキュース大学の生物学者で、アザラシの専門家であるリアーナ・マシューズ氏も、「アザラシは、やることなすことかわいいのです」と言う。

 英国スコットランド東海岸のフォース湾でカヤックを楽しむグループがハイイロアザラシに遭遇した。動画のアザラシは、1キロ半もカヤックを追いかけているうちにすっかり大胆になり、いかだのように並べたカヤックの上に何度も乗り上がり、人間との交流を楽しんだ。

 動画を撮影したアリステア・フォレスト氏は、アザラシの多いフォース湾で、日頃からカヤックに乗っている。それでも「最初のうちは心配でした。野生動物はどんなリアクションをするかわからないからです」と言う。しかし、アザラシが怪我をしておらず、危険にもさらされていないことを確認すると、心配は「純粋な喜び」に変わった。(参考記事:「命や手足を失わずに野生動物の傑作写真を撮る方法」

 アザラシがカヤックに上がってくることはめったにない。今回のアザラシは子どもと見られるが、人間を怖がることも攻撃してくることもなく、ひたすら新しい冒険を楽しんでいるように見えた。

 アザラシは知能が高く、馴染みのない状況に直面すると、用心と好奇心が半々といった様子で探りを入れてくる。彼らは泳力に優れ、水中ではほとんど無敵のため(オスの成体は体重が130キロ以上にもなる)、いざとなったらすぐに安全なところに逃げられる自信をもっている。(参考記事:「イルカ襲う、つぶらな瞳の無慈悲なアザラシ」

野生動物に遭遇した人間はどう振る舞うべきか

 今回の遭遇は何ごともなく終わったが、より大きな問題をはらんでいる。

 カヤックに乗ったアザラシは、家具の上に乗りたがるペットの犬みたいでかわいい。けれどもアザラシは野生動物であり、野生動物として扱うべきだ。

 私たちはしばしば野生動物に遭遇する。人口が増えて、人間がいない場所といる場所がますます入り組んできたこともその一因だ。動画のような状況になったら、どのように振る舞うべきなのだろう?

 マシューズ氏によると、手で海面をパシャパシャ叩いたり、アザラシに触れようとしたりしてはいけないという。ちなみに米国の海洋哺乳類保護法では、人間がアザラシや他の海洋哺乳類に接近することを禁じている(スコットランドにはこうした法律はないため、フォレスト氏の行動は合法だ)。

 カヤックにアザラシが近づいてきたら、静かに座っているのがいちばんだ。万が一、アザラシがカヤックに乗ってこようとしたら、パドルで静かにはらいのけよう。アザラシは分厚い皮膚と脂肪の層に守られているため、水中に落ちても怪我をすることはない。(参考記事:「獲物のペンギンをくれたヒョウアザラシ」

「野生動物が人間の近くで快適に過ごせるという状態は、動物にとっても人間にとっても良い結果にはなりません」とマシューズ氏。フォレスト氏も同意見で、自分の動画を見た人々が「アザラシを探しに行くようなことにならないか心配。野生動物には広々した空間が必要なのです」と語る。

 アザラシはかわいいが、その歯は鋭く、人間に感染する病気を持っている可能性もある。人間に慣れた野生動物は、ほかの色々な船に接触して怪我をしたり死亡したりするリスクが高まるうえ、ゴミや汚染物質の被害を受けたり、娯楽のために殺されたりすることもある。

 今度、カヤック中にアザラシに出会ったら、「放っておきましょう」とマシューズ氏。「そしていつか、『アザラシがカヤックに乗ってきそうになったこともあったよね』と思い出話をしましょう」

文=Rachel Brown/訳=三枝小夜子

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