古代爬虫類のお腹に子ども、海への進出に関係か

2億4500万年前に生息したディノケファロサウルスの珍しい生態

2017.02.16
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妊娠したディノケファロサウルスの想像図。三畳紀の海で魚を食べている。(ILLUSTRATION BY DINGHUA YANG & JUN LIU)
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 太古の海のモンスターのお腹に生き物が見つかったと聞いても、最初はそれほど驚かないかもしれない。何しろこの化石は、獲物を丸のみにできるほど大きな海生爬虫類なのだから。

 しかし、古生物学者たちがよく調べたところ、体内にあった小さな動物の化石は獲物ではなく「胎児」で、大きな化石は母親だったことが判明した。(参考記事:「首長竜は胎生だった? 化石から胎児」

 中国南部で見つかったこの化石を調査した国際研究チームは、2月14日付け学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」で、2億4500万年前に生息した首の長い海生爬虫類ディノケファロサウルスの体内に、この動物の胎児の体が一緒に保存されていたと発表した。

なぜ獲物でなく胎児と言えるのか

 体内の小さい動物の化石が、大きな動物の獲物でなかったと言えるのには、いくつかの証拠がある。

 まず、見つかった「胎児」は親と同じく長い首の関節を備えており、2体が同じ種であることを示していた。さらに、胎児は前を向いていた。ディノケファロサウルスは獲物を頭から飲み込んだと考えられ、その向きはふつう消化器官を通過する間も変わらない。

 加えて、胎児の姿勢も特徴的だった。「胎児は丸まった状態でした」と、論文の共著者で中国、合肥工業大学の古生物学者、劉俊氏は話す。「ある動物が別の動物に食べられた場合、このような姿勢を保つことはできません」

 ディノケファロサウルスは、恐竜、ワニ、鳥類を含む爬虫類のグループである主竜形類(Archosauromorpha)の1種だ。だがこのグループのほかの生物と違い、卵を産むのではなく、胎児を出産していたらしい。(参考記事:「知っているようでホントは知らない?  「恐竜」って何者?」

 劉氏らのチームは今回の発見について、主竜形類の1種が胎生だったことが判明した初めての例だとしている。しかし、カナダ、アルバータ大学の絶滅海生爬虫類の専門家マイケル・コールドウェル氏は、それは必ずしも正しくないかもしれないと言う。コリストデラ類という半水生の爬虫類にも胎生の種がいたからだ。

 問題は、主竜形類というカテゴリーが「大きな寄せ集めの一群」であることと、コールドウェル氏は指摘する。コリストデラ類を主竜形類に含めるかどうかは諸説あるものの、現状は多くの古生物学者が主竜形類に含まれると考えている。

陸から海への進出にかかわり?

 いずれにせよ、新たに発見されたディノケファロサウルスの胎児は研究する価値が高いとコールドウェル氏は語る。理由の1つは、動物がいかに環境からのストレスを克服し進化したかについて、新たな知見が得られるかもしれないからだ。

 胎生という生まれ方は、子の性別が決まる方法と関係がある。論文によると、ディノケファロサウルスは、巣の温度など環境要因で決まる方法ではなく、遺伝子によって子の性が決まっていた可能性が高いとしている。(参考記事:「共食いも胎盤も! サメは「繁殖様式のデパート」」

 さらに、胎生や遺伝子による性決定といった特徴をもつことは、動物が生息環境を陸から海へ移すことともつながりが深い。歴史上、こうした生息環境の移動は何度もあり、普通は大量絶滅の時期に起こったことがわかっている。

「私たちが今生きている世界は、進化と変化を続けています」とコールドウェル氏は言う。今の爬虫類も、生息地の消失や気候変動といった現代特有の圧力を受け、変貌を強いられている。(参考記事:「太古の海生爬虫類は恒温動物の可能性」

文=Erin Blakemore/訳=高野夏美

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