【動画】衝撃、チンパンジーが元ボスを殺し共食い

地位を追われたボスは、なぜ群れに戻ったのか

2017.02.01
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群れのなかでの駆け引き

 プルエッツ氏の研究チームは、2005年からフォンゴリのチンパンジーたちを観察している。ここのチンパンジーたちは人間に完全に慣れてしまっているが、このような場所は西アフリカでも珍しい。(参考記事:「チンパンジーの好奇心?」

 プルエッツ氏の観察記録から、チンパンジー社会で毎日のように繰り広げられている駆け引きの様子がうかがえる。群れにはアルファ雄と呼ばれるボスが君臨し、そのボスとほかの雄たちが同盟を組んで群れを統率。そして彼らを、雌と子どもたちが取り囲む。雌は、成熟すると新たな群れを求めて独立するが、雄は自分の生まれた群れにとどまり、自分の力を誇示したり同盟を乗り変えたりして、社会的に優位に立とうと争うのだ。

フォウドウコの死体をのぞき込む雄のチンパンジー、マイク(左)とLX(右)。(PHOTOGRAPH COURTESY JILL PRUETZ)
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 2005年初め、プルエッツ氏の研究チームは、調査対象としていたチンパンジーの群れの雄たちが、そろって服従を示す雄たけびを上げていたことから、フォウドウコがボスの座に就いたと考えた。

 ところが2007年9月、フォウドウコの権力が揺るがされる出来事が起こった。群れのナンバー2であったママドウという雄のチンパンジーが、足に深い傷を負ってしまったのだ。ママドウが影響力を失ったことでフォウドウコの立場も危うくなり、ついに2008年3月、若い雄のグループによってフォンゴリから追放されてしまう。姿を消したフォウドウコは、どこかで死んでしまったのだろうと、プルエッツ氏らは考えていた。

 ところが驚いたことに、フォウドウコは9カ月後に再び群れへ戻ってきた。しかし、かつての面影はなく、人間の姿におびえ、フォンゴリの外れで木や茂みの後ろに隠れるようにうろついているだけだった。それから5年にわたって、流れ者のような生活を送っていたフォウドウコは、時折ママドウの兄弟で新たにボスの座に就いたデビッドのご機嫌取りをするなどしていた。

 ママドウとデビッドはフォウドウコの帰還を受け入れたものの、彼の支配下で苛立ちを募らせていた若い雄たちの態度は友好的ではなかった。フォウドウコをしきりに群れから追い払おうとしたり、専門家にも理解できない奇妙な叫び声をあげて襲いかかったりしていた。

そして事件は起こった

 2013年6月15日の夜明け前、プルエッツ氏と助手のミシェル・サディアコー氏は、寝泊まりしていたキャンプ地から1キロと離れていない場所で、騒がしい音がするのを耳にした。チンパンジーたちが何かをわめきながら、南へ向かって走っていく。マラリアにかかって寝込んでいたプルエッツ氏の代わりに、サディアコー氏がチンパンジーの後を追った。

 目の前の光景に、サディアコー氏は愕然とした。推定17歳のフォウドウコが、死体となって転がっていたのだ。その手には無数のかみ傷やひっかき傷があった。2頭のチンパンジーがフォウドウコの両手を押さえつけて、ほかのチンパンジーたちがその頭や腹を殴打したのだろう。足にぱっくりと開いた大きな傷口は、おそらく食いちぎられたもので、皮膚の大部分がさけて大量の失血があったことを示している。

 日が昇ってプルエッツ氏も現場へ向かうと、チンパンジーたちはよってたかってフォウドウコの体をいじりまわし、喉や性器をかみ切って食べていた。(参考記事:「【動画】衝撃、子グマを食べるホッキョクグマ」

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