新種のカニ、「ハリー・ポッター」にちなんで命名

サンゴの欠片が積もった海底を手で30メートル掘って発見、グアム島沿岸

2017.01.26
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新種のカニであり、新たな属を形成するハリープラクス・セブルス(Harryplax severus)。西太平洋に浮かぶグアム島沖のサンゴ礫が深く積もる海底で発見された。(JOSE C. E. MENDOZA)
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 新種を見つける能力が魔法使いのようにすぐれたある収集家に敬意を表し、新たに発見されたカニに「ハリー・ポッター」シリーズの登場人物にちなんだ名前が付けられ、1月23日付けで学術サイト「ZooKeys」に発表された。(参考記事:「新種テナガザルを発見、スター・ウォーズから命名」

 学名を「ハリープラクス・セブルス(Harryplax severus)」と名づけられたこのカニは、西太平洋に浮かぶグアム島沿岸の「サンゴ礫底」、すなわち死んだサンゴの欠片が深く積もった海底にすんでいる。体色は黄色みを帯びた乳白色で、1日の大半を物陰に隠れて過ごす。薄い体の色や小さくて動かない目は、暗い場所にすむ生物の特徴だ。(参考記事:「ペットとして人気の吸血鬼カニ、新種と判明」

 目撃例がほとんどないこのカニは、今世界中のサンゴ礫底で続々と見つかりつつある数多くの生物の仲間入りを果たすことになる。サンゴ礫底は生物多様性の隠れた宝庫だと考えられているが、人間がそこを探索するのは容易ではない。(参考記事:「南太平洋の島で進む生態系モデルの研究」

 新種のカニの名前は、ハリー・ポッターに登場する教師、セブルス・スネイプにちなむ。「(スネイプ氏は)物語の中で最も重要な秘密の1つを握っていた人物であり、それはちょうどこのカニが、最初に収集されてから20年近くもの間、新種であると我々に知られることを逃れてきたこととよく似ている」。シンガポール国立大学の生物学者ジョゼ・メンドーザ氏とピーター・ウン氏は論文でそう述べている。(参考記事:「新種のザトウムシにあのキャラクターの名前」

発見者の名前も同じく「ハリー」

 ハリープラクス・セブルス(Harryplax severus、「severus」はラテン語で「厳しい」の意)というその名はまた、アマチュアの野生生物コレクターで、1998年と2001年にこのカニを見つけたハリー・コンリー氏の多大な努力にちなんだものでもある。コンリー氏は米軍を退役した後、何年間もグアム沖でダイビングをして過ごしながら、手作業でサンゴ礫底を30メートルも掘り下げ、ひたすら“ファンタスティック・ビースト”を追い求めた。「コンリー氏が掘った穴はまるで爆弾のクレーターのようでした」。科学誌「ネイチャー」誌の2004年のインタビューで、ウン氏はそう話している。

 コンリー氏が2002年に不幸な事故(口論の最中に頭部を銃で撃たれた)で他界した際、彼が収集していたサンプルは生物学者のグスタフ・ポーレー氏に託され、その後さらにカニの分類学の専門家であるウン氏の手に渡った。

 2匹の珍しい黄色っぽいカニが正式に新種として認定されたのはそれからずいぶん後のことで、ウン氏と同僚のジョゼ・メンドーザ氏は、このカニが新たな属を形成すべき種であることに気が付いた。さらに、Christmaplacidae科に属するカニとしてはわずか2種目、かつ太平洋で見つかったのは初めてだった。(参考記事:「ラテン語による二名法の発案者、リンネ」

「ポッターヘッド(ハリー・ポッターの熱狂的ファン)」であることを自認するメンドーザ氏は、属名の「ハリープラクス(Harryplax)」には2つの意味があると述べている。

 この属名は本や映画の主役であるハリー・ポッターにちなむと同時に、発見者であるコンリー氏の名前を科学界の記録に残すものでもある。論文にはこう書かれている――彼の「まるで魔法のように、稀少かつ興味深い生物を集める超人的な能力」に敬意を表する、と。(参考記事:「自らを飾る驚異の装飾系動物6選」

文=Michael Greshko/訳=北村京子

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