意外に雪が好きな動物たち

雪玉作りから食料の冷凍保存まで、雪を上手に使う

2017.01.25
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米ミネソタ州北部にあるインターナショナル・ウルフ・センターのハイイロオオカミ。このようなオオカミにとって、雪は獲物を弱らせ、捕えて保存しやすくしてくれる存在だ。(Photograph by Joel Sartore)
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 寒さの厳しい季節、雪の中で遊ぶ可愛らしい動物の姿を見るほど心温まることはない。

 雪や氷のなかで生きているのは、ペンギンやホッキョクグマだけではない。雪や氷が大好きな、あるいはそれなしではいられない、意外な動物たちを紹介しよう。(参考事:「フォトギャラリー:雪にたわむれる動物たち」

ニホンザル

 日本にすむサルは、夏は暑く冬は寒い日本の気候にうまく順応していて、その多く、とりわけ若いサルが、冬の雪を大いに楽しんでいると、京都大学霊長類研究所の博士課程の学生、竹下小百合氏がメールで教えてくれた。

雪玉で遊ぶニホンザル。(Photograph by Arco Images GmbH, Alamy Stock Photo)
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 京都大学の野生生物学者フレッド・ベルコビッチ氏のメールによれば、ニホンザルは雪玉を作ることもあるという。体の構造上、オーバースローはできないが、雪玉を持って歩いて、ほかの遊び方を見つける。

「何匹もの子ザルが、お互いの雪玉を取ろうとしているのを見たこともあります」と竹下氏は言う。

 寒い所でボール取り遊びをした後は、温泉に浸かってほっとするのもいいだろう。長野県にある地獄谷野猿公苑のサルたちは、冬になると温泉に入ることで有名だ。このサルたちは、親しみを込めて「スノーモンキー」と呼ばれている。(参考記事:「感情が静かに伝わってくるサルの写真10点」

コオリミミズとワムシ

 『アナと雪の女王』のエルサのように、コオリミミズにとって氷は味方だ。長さ数センチほどの黒くくねくねとしたこの環形動物は、氷河に生息する数少ない動物の一つだ。

 もう一つは、ヒルガタワムシという微小動物。そのうちの二つの種が、米ラトガース大学カムデン校の生物学者ダニエル・シャイン氏によって、アイスランドの氷河で発見された。「この氷河は比較的温暖で、0℃に保たれています。これはコオリミミズやワムシが辛うじて凍らない温度です」とシャイン氏は言う。

コオリミミズ(この写真はアラスカのもの)は氷河に生息する数少ない動物の一つ。(Photograph by Accent Alaska, Alamy Stock Photo)
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 ヒルガタワムシは生殖行為を行わない。この種にはメスしかおらず、4000万年もの間無性生殖で生き延びてきたと考えられている。食べた有機体の遺伝子を「盗み」、自らのゲノムに取り込むことで、通常は有性生殖によって獲得する遺伝的多様性を維持しているそうだ。

 ヒルガタワムシは非常にタフでもある。シャイン氏によると、マイナス62℃で数週間凍らせたアイスランドのワムシの標本が、見事に息を吹き返したという。

ハタネズミ、ハツカネズミ、トガリネズミ

 雪は非常に優れた“断熱材”だ。たとえ凍てつく極北であっても、その下には暖かく湿った、動物たちが潜り込むことができる空間がある、と米アラスカ大学フェアバンクス校の生態学者グレッグ・ブリード氏はメールで述べている。

 ハタネズミやハツカネズミ、トガリネズミは、土を掘って酸素が入る通気孔のある巣とトンネルを作る。冬はこの地下の家を覆った雪が、ネズミたちを寒さと捕食動物から守ってくれる。

 実際、雪があることでネズミたちの生存率は高くなる。雪の中は比較的安全で、居心地がよいからだとブリード氏は言う。

オオカミ

 ブリード氏によれば、冬の深い雪は遊んで楽しいだけではない。ハイイロオオカミのような寒冷地のオオカミにとっては、食べる上でも役に立つ。

 真冬に雪が深く積もると、獲物になる動物が弱って捕えやすくなるうえ「寒さと雪のために仕留めた獲物が腐敗しにくくなり、数週間から数カ月もの間腐らずにもつこともある」という。

 ただし、ツンドラオオカミは、形勢が逆転しないように気をつけなければならない。ハイイロオオカミの亜種であるこの極北のオオカミは、冬になると白くなる。これはホッキョクグマに捕まって食べられないための保護色である。(参考記事:「雪の中に立つハイイロオオカミ」

このオグルマの花に止まるキベリタテハのように渡りをしない北方のチョウは、雪の真下で冬眠することもある。(Photograph by David Chapman, Alamy Stock Photo)
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チョウ

「チョウ」といえば何より春を感じさせる存在だが、冬でも北方のすみかから離れないものは、雪の断熱効果も利用する。積雪の真下で冬眠するチョウもいるが、比較的暖かく湿った空間が、休眠と呼ばれる仮死状態の間に凍死したり脱水状態になったりするのを防いでくれる。

こざる温泉
会いに行けるしあわせ動物


雪の中、温泉に入る姿が愛らしく、
「スノーモンキー」の愛称で
世界的に知られるニホンザルを
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価格:本体1600円+税
福田幸広 写真 ゆうきえつこ 文
サイズ:210mm×148mm
96ページ、ソフトカバー

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文=Liz Langley/訳=山内百合子

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